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小林よしのり
2014.12.6 14:02

国民は戦前の繰り返しを選ぶ


自民党が300議席を超えて大勝すると言われているが、

それはわしの『新戦争論1』にとっては悪い結果ではない。

安倍政権が続いていて、株主資本主義がもっと格差を拡大させ、

軍事的には親米ポチ路線がさらに進み、憎悪のナショナリズム

が幅をきかせる社会を前提にして、描いているからだ。

大東亜論』だって、作品の意義はこれから大きくなっていく

のだから、悪くはない。

 

だが本が売れるからというのは、「私」的な欲望である。

「公」的には、一般庶民が生活苦にあえぎ、次世代に借金を

つけ回しして、少子化が加速度的に進む社会になるので、

気の毒で心苦しい。

けれどもそれを国民が望むから自民党に入れるのだろうから、

仕方がないではないか。

 

出口戦略もなしに、満州事変や支那事変から米英仏蘭との開戦で、

アジアに異次元規模の軍隊を派遣して、「神風が吹く」と叫んで

敗戦した戦前と、現在の状況はよく似ている。

 

社会は最悪になる、わしの単行本は売れる、これは喜ぶべき状況

なのだろうか?

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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