これは作画スタッフへの励ましで言うが、『ゴー宣special』の
第8章までの完成原稿を見ると、なかなか凄いじゃないか!
見ごたえのある、迫力ある絵になっている。
宇野常寛氏は『戦争論』を情報と言うが、実は物語と情報の
両面があって、ネトウヨは情報しか受け取れないが、
物語の情緒を受け取った読者の方がはるかに多いのである。
ネトウヨは『戦争論』の読者のほんの一部だ。
なにしろわしは、センチメンタリズムを慰安婦に取られて
しまっている当時の状況を、ひっくり返すために『戦争論』を
描いた。
動機は祖父たちへの感謝なのだ。
自国の祖父たちへの情愛を取り返すための『戦争論』だったのだ。
情報ではセンチメンタリズムを取り返すことは出来ない。
だから「南の島に雪が降る」や「特攻隊」の物語を、
戦後民主主義者である小林よしのりの物語に重ねることによって、
祖父と孫の世代を繋いだのだ。
そのような作業は、情報のみでは出来ない。
物語でしか、情愛の回復は出来ないのである。
ネトウヨは基本的に情緒が欠落しているから、情報戦の快感に
溺れていくが、そんな連中よりはるかに多い読者が、『戦争論』の
物語性に心を揺さぶられ、涙して、感動してくれたことを
忘れてはならない。
そして、漫画のネーム部分は情報かもしれないが、漫画の絵には
情報を上回る衝撃や、感動を伝えることが出来る。
だからこそ、単なる絵解きにならないように、絵が説明図になら
ないように、考慮して描いていくことも必要なのである。
11月いっぱいを目指して、現在進行中の『ゴー宣special』は、
まず第1章で、ほとんど文字のない、絵だけで物語を進行させたが、
その絵の迫力が尋常ではない。
作画スタッフ諸君、この調子で頑張れ!