側室不在の状況下で「男系の男子」限定をいかに維持するか?
男系主義にとって根本的な問いかけだ。
しかし、これまで説得力のある解答は出されていない。
よく耳にするのは、
「竹田恒泰氏のような旧宮家系の国民男子がいるから、
彼らを改めて皇室に入れるようにすれば、万事オッケー!」
といった無責任な意見だ。
しかし、品性に問題ありとして慶應義塾大学の講師に
名前を連ねることさえ憚られたような人物を、
本気で皇室に入れて良いと考える人は、少なくとも
良識ある国民の中にはいないだろう。
その他に、これまで知られている旧宮家系で未婚の成年男子は3人
(あるいはその中には既に結婚した人物がいるかも知れない)。
1人は秋篠宮殿下より年上。
もう1人はプロのゲーマーで口癖は「ぶっ殺す!」だとか。
残りの1人は自動車販売業。
これらの人物の誰が、皇室に迎えるに相応しい
資質や経歴を備えているのか、どうか。
そもそも、ご本人にこれまでの人生を全て投げ出して、
自由や権利を全面的に制約される立場に移る意思があるのか、どうか。
そうした基本的な事柄を一切、確かめもしないで、
あたかもそれがイッパシの「対案」であるかのような錯覚が、
独り歩きしていた。
だが、これらの人物の評価については
「生々しい話になる。いろいろな方からご意見をうかがいましたが、
ここでは言えないことはたくさんあります」(前原誠司氏)
との意味深長な発言もある。
しかも、もし彼らの中から複数、皇室に迎えることがあっても、
側室不在の条件下で、代々男子が必ず1人以上生まれる保証は、
どこにもない。
所詮、ワンポイント・リリーフ以上の意味を持ち得ないのだ。
長い皇室の歴史の中には、一旦、
皇族の身分を離れた人物が皇室に戻った「異例」が
全く無かった訳ではない。
だが、天皇から血縁が20世以上も離れ、
国民又は国民の子として生まれて、世俗の中で
何十年も暮らした人物が、新しく皇室に入ったような例は勿論、皆無。
そんな前例のないことを敢えて行い、
皇室と国民の区別を曖昧にしてまで、旧宮家系男子の皇籍取得を
可能にし、もしそれが実行されたとしても、
結局は問題の先送りに過ぎず、
何ら危機の解決にはならないのを知るべきだ。