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小林よしのり
2014.3.6 14:21

村山談話・河野談話に未来はあるか?第24回


村山談話・河野談話に未来はあるか?

24回 吉田証言「虚偽」に未練タラタラの吉見義明

 

慰安婦問題「謝罪派」の理論的支柱とされる

吉見義明中央大教授も、当初は「吉田証言」を根拠に

強制連行」を信じていたようだ。

なにしろ、1992年(平成4)に現代史家の秦郁彦氏が

済州島の現地調査によって、吉田証言が虚偽だと証明

しても、その1年ほど後に吉田清治を訪ねて、直接

説得を試みているほどなのだ。

 

吉見本人の記述『「従軍慰安婦」をめぐる30のウソと真実』

(大月書店1997)によれば、吉見は吉田に対して、

積極的に反論するよう勧めた。また、誇張された部分が

あれば、訂正するべきだとも申し入れた」という。

 

ところがそれに対する吉田の答えは「日記を公開すれば

家族に脅迫などが及ぶことになるので、できない」という

極めて怪しいもので、

さらに「回想には日時や場所を変えた場合もある」とも

言ったという。

これでは真偽の検証は一切できない。

 

この吉田との会見で吉見は「吉田さんのこの回想は

証言としては使えないと確認するしかなかった」との

結論に達し、以降「吉田さんのこの証言はいっさい

採用していない」という。

 

研究者ならそう判断して当然なのだが、それでも吉見は

なお「吉田さんには、慰安婦徴募にかんするみずからの

体験を伝聞と区別して正確に証言されるよう望みたい

などと、まだ未練タラタラな気持ちを吐露している。

 

吉田清治は「週刊新潮」1996529日号では

秦さんらは私の書いた本をあれこれ言いますがね。

まあ本に真実を書いても何の利益もない

事実を隠し、自分の主張を混ぜて書くなんていうのは、

新聞だってやることじゃありませんか。チグハグな

部分があってもしようがない」と、完全に開き直った

コメントをしていたが、その後もまだ吉見は

吉田への未練を捨て切っていなかったようだ。

 

吉見が「大発見」したつもりでいた「軍の関与」の

資料など、実際には「関与していて当然」の、

何の問題もない資料だった。

問題は「軍が関与した強制連行」があったのかどうか

であり、その唯一の証拠とされた吉田証言を

吉見義明ですら採用できないと結論付けた時点で、

もうこの話は終わったはずだった。

 

ところが、そうはならなかったのである。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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