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高森明勅
2013.11.25 11:05

三島由紀夫の天皇論

三島由紀夫は福田恒存との対談「文武両道と死の哲学」
(『
論争ジャーナル』昭和42年11月号、
後に『
若きサムライのために』に収録)の中で、
自らの「天皇論の概略」
を語っている。

その一部を紹介する。

「…ぼくは、工業化はよろしい、都市化、近代化はよろしい、
その点はあくまで現実主義です。
しかし、
これで日本人は満足してゐるかといふと、
どこかフラストレイトしてゐるものがある。
その根本が天皇に到達する…

天皇はあらゆる近代化、
あらゆる工業化によるフラストレーションの最後の救世主として、
そこにゐなけりやならない。

…それはアンティエゴイズムであり、アンティ近代化であるけれど、
決して古き土地制度の復活でもなければ、農本主義でもない。

近代化の過程のずつと向うに天皇がある…

天皇といふのは、国家のエゴイズム、
国民のエゴイズムといふものの、一番反極のところにあるべきだ。

…その根元にあるのは、とにかく『お祭り』だ、といふことです」



この発言からすでに45年以上が経過した。

しかし今も、その指摘の斬新さは、決して古びてはいない。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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