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高森明勅
2013.4.12 01:58

旧宮家系国民男子の皇籍取得をリアルに考えてみた

女性宮家に反対する人たちは、
どうやって皇室の存続を図ろうとしているのか?

唯一の方策は、旧宮家系国民男子の皇籍取得だ。

だが旧宮家系国民男子で未婚の成人は、
これまで知られている限り、僅か4人。

その中の1人は、既に50代。
秋篠宮殿下より年上だ。

こういう人の皇籍取得は、ちょっと考えにくいだろう。
更に、これまで政治的発言を繰り返して来た人物が1人いて、
本人も明確に皇籍取得の意思がないことを表明している。

となると事実上、皇籍取得の対象たり得るのは2人だけだろう。
その中の1人は、以前勤務していた電通を退社し、
自分で立ち上げたゲーム会社も解散しているようだが、
韓国では有名なプロのゲーマーとかで、
織田信長の生まれ変わりと称するかなりユニークな人物らしい。

国民男子としては、有能で魅力的かも知れない。

だが、果たして皇室の一員としてはいかがか。

この人物を除外すると、あとは、
自動車販売会社に勤めていると伝えられる
30代前半の1人(父親も国民として出生)のみ、
ということになる。

彼に皇籍取得の意思があるのか、ないのか。

また、資質・経歴などの面で皇族たるに相応しい人物なのか、
どうか。

今のところ一切、不明だ。

女性宮家を全否定して、この1人に全てを賭けるというのは、
普通に考えると、危険この上ないことではないか。

しかも、仮にこの人物が皇籍を取得しても、
内廷のほかに、たった1つの宮家が確保されるに過ぎない。

それで、側室なき一夫一婦制の皇室が、
「男系」限定で末長く存続できると楽観できるだろうか。

勿論、無理だ。

皇室の存続を図るには、机上の空論を排した、
リアルな思考力が求められる。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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