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高森明勅
2013.3.18 10:52

「私を信頼して」が出たら危険

安倍首相は16日の自民党の全国幹事長会議で、
TPP交渉参加について「どうか私を信頼して欲しい」
と呼び掛けた。

この報道に接し、嫌な予感を抱いた人は少なくないのではないか。

鳩山由紀夫氏の「トラスト・ミー」を思い出した人も
いるかも知れない。

安倍氏の言葉に、漠然とでも不安を覚えた人は、
健全な言語感覚を持っていると言えよう。

というのも、相手に信頼して貰える客観的な
根拠がしっかりある場合には、こんな言い方は決してしないからだ。

その場合は、必ず「〇〇〇だから大丈夫」と
根拠を明示して説明するはずだ。

更に、実績に裏打ちされた信頼感が既にあれば、
ことさら「信頼して欲しい」と懇願するような真似はしない。

従って、「私を信頼して欲しい」というのは、
信頼に足る客観的な根拠がなく、
己れの実績を省みて自分は信頼されていないと、
本人が自覚している時に使われる言葉だ。

だから、この言葉が出たら、
危険信号だと心得た方がいい。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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