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高森明勅
2012.12.8 10:15

共産党は何故、伸びないのか?

我が家の近くに式内社がある。

式内社というのは、平安時代の法令集『延喜式』に名前が出てくる、
古代以来の由緒ある神社。

地元の人々は皆、この神社に初詣に出かける。

その時、神社の鳥居の下で毎年、
たすきをかけて参拝者に新年の挨拶をしている地方議員がいる。

日本共産党に所属している議員だ。

日頃から地元に密着した活動を一番、熱心にやっているのは、
共産党だろう。

ポスターも、選挙に関わりなく、
いつもあちこちに貼ってあるし、
駅前での演説やビラ配り、ポスティングなども、
普段から小まめにやっている。

共産党の関係者は、町内会やPTAの行事などにも積極的と聞く。

ただし、活動家の高齢化は避けられないようだが。

一方、国政上の政策も、脱原発、反TPPで、
アメリカの言いなりになるな、農業を守れと主張している。

政治活動の資金も、企業団体献金は一切、
受け取らないし、政党助成金も筋が通らないとして拒絶している。

こう見ると、政党としてなかなか立派だ。

少なくとも、選挙で落選するのが嫌で流れ込む連中を、
理念も政策も問わず、なりふり構わないで、
数を稼ぐ為に受け入れている新党などよりは、
よほどまともに見える。

もちろん個人的には、共産党は私が長年、
取り組んで来た教科書問題などでは、宿敵と言ってよい。

だが、一般的にはもっと支持が広がってよさそうだが、
広がらない。

何故か。

まだ、共産党への不信感や警戒感が、
拭い去られていないためか。

かつての「天皇制打倒」を叫んでいた共産党こそ、
本当の姿で、今はネコを被っているだけ、
と感じる人が多いのか。

先頃、松原隆一郎氏が、こんなことを述べていた。

「ずっと党名を変えなさいと主張してきましたが、
新党がポコポコ生まれて党名がコロコロ変わる現状を見ると、
変えなくて正解でした」と。

共産党は、大正時代にコミンテルン日本支部として結成されて以来、
党名を変えず、アイデンティティーを守り続けている。

その頑固一徹さが、この党の存在感を支え、
同時に党勢拡大の決定的なブレーキにもなっているのだろう。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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