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高森明勅
2012.7.5 14:04

「旧宮家」系国民男子のリアル

 男系限定論者たちが唱える唯一の方策は、「旧宮家」系国民男子の皇籍取得。

では、その男子たちの実態は?

拙著『歴史で読み解く女性天皇』では
「未婚の成年男子は、わずかに3人らしい。
未成年の男子は、6人ほど」と書いた。

だが、近刊の所功氏『皇室典範と女性宮家』によると、以下のようであるらしい。

まず、未婚の成年男子は久邇邦晴氏(50歳)、
東久邇睦彦氏(31歳)、
竹田恒貴氏(37歳)、
竹田恒昭氏(32歳)、
竹田恒泰氏(36歳)の5人。

未成年の男子は、賀陽正憲氏の長男(16歳)、
次男(14歳)、
東久邇征彦氏の長男(2歳)、
東久邇照彦氏の長男(8歳)の4人
(年齢は今年5月現在、拙著では旧宮家から養子に出た系統もカウントしたので未成年6人)。

順番に見ていこう。

まず、成年男子について。

久邇邦晴氏は、以前の保阪正康氏のレポートでは大手重機メーカー勤務とのことだった。

独身ながら、50歳という年齢での皇籍取得は、普通には考えにくいだろう。

竹田恒昭氏は『週刊新潮』によれば、プロのゲーマー。

織田信長の生まれ変わりを自任している個性的な人物らしい。

皇籍取得には疑問符がつく。

竹田恒泰氏も、政治的言動を 繰り返して来た経歴などから、
皇籍取得は相応しくない。

本人も、皇籍取得の意思はないと、繰り返し明言している。

となると残るは、2人だけ。

自動車販売会社勤務という東久邇睦彦氏と、大手商事会社勤務という竹田恒貴氏(勤務先は保阪氏のレポートによる)だ。

もちろん、この2人が皇籍取得の意思を持っているかどうかは、不明

(保阪氏は皇籍取得を「希望している人はほとんどゼロ」と証言していた。

万一、皇籍取得の候補といった話になると、経歴その他の精査が欠かせないことは言うまでもない)。

次に、未成年の男子の親はどう考えているのか?

賀陽正憲氏は『週刊新潮』の取材に「立場が違いすぎ、恐れ多いこと」と答えている。

東久邇征彦氏も「お断りさせていただく」、東久邇照彦氏は「何もお話しすることはできません」との回答だ。

当然と言えば当然ながら、前向きな答えは皆無。

「男系」論者たちは、こうした現実を見据えた上で、女性宮家の創設に反対しているのだろうか?

男系限定で皇位を継承していくには、4〜5の宮家を「常に確保し続ける」以外にない(竹田恒泰氏)のであれば、
一体、どうやって皇室の末長い存続を確保するつもりなのか? 

リアルな回答を示して欲しい。 
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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