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高森明勅
2012.5.3 07:39

中学生からの取材依頼

今まで様々な取材依頼を受けて来た。

だが、こんなのは初めて。

中学生からの取材依頼だ。

5月23日午後3時から取材に応じて欲しい、と。

おいおい、こっちの都合も確かめずに、いきなり日時指定の取材申し込みかよ、と驚いた。

それでも、この取材は受けることにした。

何しろ取材したいと言って来たテーマが、他ならぬ「女性宮家」。

何故、見も知らぬ中学生が、「女性宮家」について私に取材しよういう話になったのか。

いきさつは、こういうことらしい。

都内の某大学付属某中学校で総合的学習の授業の一環として、「東京都とその周辺で地域研究」を計画。

あるクラスでは、その地域研究の具体的なテーマを、自分たちで「皇室」に決めた。

そのクラスのW君ら4名の班が、皇室研究のテーマをさらに限定して、「女性宮家」を自分たちの課題に選んだ――。

地域研究というのは、中学生の課題学習としては、よくあるテーマだ。

だがそこから飛躍して、皇室というテーマを自分たちで取り上げたあたりが、興味深い。

筋から言えば、天皇陛下がいらっしゃるからこそ東京は「都」なので、東京研究には勿論、
欠かせないテーマと言える。

しかし、私などにはまだ幼いイメージの中学生が、自発的に東京研究の一環として皇室を取り上げたことに、
やや意外な印象を受けた。

近来、皇室がそれだけ存在感を持って中学生にも受け止められているのか。

それとも、彼らが特別に優秀な中学生たちで、その辺の不用意な政治家より、我が国における「都」の本質を直感的にでも、
正しく掴んでいるのか。

さらに、より絞った女性宮家という話題に食いつく中学生がいるのか、と感心した。

加えて、女性宮家というテーマの取材対象として、テレビ等に盛んに露出している人物などではなく、
この私に白羽の矢を立てた着眼も、手前味噌ながら侮れない。

そこで、むしろこちらが取材するつもりで、当方のスケジュール調整をしてでも、彼らが指定した日時に会うことにした。

但し、2つ条件をつけた。

その1。
5月8日に女性宮家をテーマにした私の新刊『歴史で読み解く女性天皇』(ベスト新書)が発売されるので、
中学生には少し難しいかも知れないけど、出来たら事前にそれを読んでおくこと。

その2。
質問事項は1週間前までに提出すること。

質問事項はすでに届いた。

なかなか良い質問が4項目。

どんな「取材」になるか、今から楽しみだ。

        
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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