首相の諮問機関「新たな時代の安保保障と防衛力に関する懇談会」の報告書が提出された。
内容は、冷戦期が遥かな過去となった「新たな時代」に相応しい防衛のあり方に向け、たとえ半歩でも踏み出そうとするもの、と評価出来よう。
具体的には
(1)「基盤的防衛力」という名の事実上の防衛サボタージュからの脱却、
(2)非核3原則の将来的な見直しへの示唆、
(3)武器輸出3原則のもと、不当に拡大された武器禁輸政策の是正、
(4)集団的自衛権をめぐる従来の奇々怪々な公権解釈の変更ーーなど。
いずれも自民党政権が、問題の先延ばしを繰り返ししてきたテーマだ。
普通の「一人前」の国家なら、とっくにクリアして当然の課題ばかり。
我が国が巨大な国力を持ちながら、いつまでも、ほとんど世界で唯一、アメリカの「ポチ」的な地位に縛り付けられ続けているのは、こうした自前の国家存立の基礎を整えないで、全てアメリカに依存して来たからに他ならない。
今回この報告書が、民主党の代表選挙の直前に提出されたのは興味深い。
これまで、安全保障政策は民主党の最大のウィークポイントと言われて来た。
だが、野党時代ならともかく、政権党となった以上、それでは通らない。
ぜひこの報告書を格好の素材として、菅・小沢両氏は国防をめぐる堂々の政策論戦を展開してもらいたい。
それがきちんと出来るか、どうか。
このことは、国民が民主党を評価する際の、重要な着眼点の一つだろう。