以前、皇室典範改正をめぐる討論番組に出演した時に、意外に思ったことがある。
それは、旧宮家系国民男子の皇籍取得による危機打開を主張している方々が、彼らにとって極めて重要な意味を持っているはずの旧宮家の現状に対し、あまり関心を寄せていないように見えたことだ。
保坂正康氏が『文藝春秋』で旧宮家の現状をレポートしたことがある(平成17年3月号)。
「その後、旧宮家の男子は新たに結婚されたり、お子さんが生まれたりされていますか?」
と番組中、伺ってもどなたも答えて下さらなかった。
そのレポートでは、調査が行き届かない部分もあるかも知れないが、占領下に皇籍を離脱した11の旧宮家の中、皇太子殿下より若い世代の男子がおられるのは、賀陽(かや)家と東久邇(ひがしくに)家の2家のみ。
60年ほどでこの状態。
側室不在の状況下、男系限定の継承の困難さをまざまざと見る思いがする。