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高森明勅
2025.4.9 22:10皇統問題

女性皇族の配偶者が皇族になる場合だけハードルが高くなる?

政府·自民党は、内親王·女王の配偶者と
お子さまは国民という、近代以降前代未聞で、
憲法が全く予想していない家庭を、
未婚の女性皇族方に押し付けようとしている。

それを正当化できない為に、配偶者が結婚後に皇族になる制度では
結婚自体のハードルが高くなる、などと言い出す始末だ
(例えば4月7日の保守系団体の会合での
麻生太郎·自民党最高顧問の挨拶など)。

しかし、これまで男性皇族の配偶者は当たり前のように
皇籍を取得して来られているし、今後もそのルールを
変更するつもりは無さそうだ。

男性皇族では自明視されるにも拘らず、
女性皇族の場合だけ致命的な問題であるかのように
扱われるのは、議論として平衡を欠くのではあるまいか。

ことさらハードル云々を持ち出して、
皇族になることすら同意できない人物、言い換えると
憲法が保障する「国民としての権利と自由」を
引き続きそのまま行使したいという意思を明確に持つ人物まで、
皇籍にとどまられる皇族の配偶者として進んで
迎え入れようとする浅はかな考え方は、
皇室の「聖域」性と尊厳をないがしろにするものだ。

更に言えば、一般に強い心情的な結合を
前提とする結婚でさえ、皇籍取得のハードルが高いと
見積もるのであれば、その点の結合がより弱いと
考えられる養子縁組の場合、
なおさらハードルが高いという結論になる。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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