元衆議院議員の下村博文が、呆れるほど男系カルトのテンプレート的内容の「【皇位継承】なぜ男系男子でなければならないのか?」という動画を公開しています。
下村という人物について軽くまとめておくと、文部科学大臣の時に統一協会の「世界平和統一家庭連合」への名称変更を認めるなど教団との特に強いつながりを指摘されている一人で、いわゆる「裏金問題」で自民党の党員資格停止中に無所属で立候補した2024年の衆院選で落選。その他、加計学園を始めとする政治とカネの話にもやたらと名前が出てきます。
あらゆる主張がエセ保守のテンプレみたいな人ですが、今回の動画もパロディかと思うほど「コテコテ」の内容ばかりです。目ぼしい所を挙げて行きましょう。
女系天皇というのは女性天皇がどなたかとご結婚されて、ご皇室以外の方と結婚されて、そしてお生まれになった方をもし天皇にするということになると、そこから女系天皇が始まります。中国ではこういうことを易姓革命と言って、つまりこれまでの天皇の直系の男系男子でない新たな易姓革命が起きる。例えば民間の方と結婚されて、その方との中でお子さんが生まれて、そしてそのお子さんがもし次の天皇を継ぐとすると、ご皇室ではない、例えば鈴木家とか、あるいは田中家とか言う新たな血筋が生まれると、これが易姓革命ということですが、それが女系天皇です。
(1:02〜付近)
完全にシナ男系主義に染まったお決まりの「易姓革命論」ですね。天皇は姓を持たず、姓は天皇が臣下に与えるものという、日本における姓の形を全く理解していない時点で「解説動画」としては早くも破綻です。
それに、民間人が婚姻で皇族になれば(「姓」は明治早々に廃止されたので)苗字は無くなるので、皇室が「鈴木家」や「田中家」になる事など絶対にありません。
下村の言説は、付け焼き刃の理屈でコーティングしているだけで、男の血筋のみを崇拝して女の血筋を下に見る単純な男尊女卑の正当化でしかありません。
それがポロッと出てしまうのがこういう所。
実際に126代の男系男子
(2:05〜付近)
あ!最初の方で自分から8人10代の女性天皇に触れているくせに、あまりに固執が強すぎてついつい「126代の男系〝男子〟」って言っちゃってる!(笑)
2:16〜付近からは武烈天皇〜継体天皇の話をしていますが、後に継体天皇となるヲホド王の血筋が離れすぎているために、武烈天皇の姉(仁賢天皇皇女、雄略天皇外孫)である手白香皇女を皇后にして、女性の血筋で正統性を持たせている事には全く触れていません。
武烈〜継体の継承については、先日のDOJO「天皇は双系が伝統である」中での、よしりん先生のホワイトボード解説もぜひ併せてご覧ください(下記プレイヤーで当該の部分から再生されます)。
実際にカトリックのローマ法王もずっと男子です。そしてチベットのダライ・ラマ法王も男性で、ずっと今14世紡いできております。
3:55付近〜
この辺り完全に錯乱気味。男系女系の話ではなく「男性のみの継承」の正当化ばかりを主張しています(ローマ法王もダライ・ラマも血統での継承じゃないし)。
下村博文は、何を話していたか忘れてしまうレベルまで、男尊女卑が脳髄まで染み込んでいる人間のようです。
この後に旧宮家の話なども出てきますが、動画タイトルになっている「なぜ男系男子でなければならないかの理由」っぽい話は(冒頭の、易姓革命の与太話を除いて)全く出てきません。現在の皇統問題に関する議論においては、全く話にならないレベルの内容です。
下村は昨年の落選後しばらく沈黙していましたが、最近になって頻繁にYouTube動画やSNS投稿をアップしており、おそらく次の選挙での「復活」を目指してのアピールなのでしょう。
しかし、「支援」を受けているカルトの主張を復唱するような言説しかできない人物が、国政から退場となり本当に良かったと感じます。
もう二度と、政治の場に戻って欲しくないですね。