「女性セブン3月27日・4月3日号」に掲載された「愛子さまお相手探しに安堵『夫にも宮廷と護衛』」という記事。
これは、3/6に公開された、2/17実施の「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応に関する全体会議」議事録を経てのもの。記事タイトルは、「政府関係者の驚くべき見解」があったという、匿名の「皇室記者」によるコメントに依っています。
女性皇族の夫や子供を皇族とはみなさないことが前提ながらも、御用地での同居や皇宮警察による警備、女性皇族の地方公務に同行する際の交通費の支給などを認めるというものです。
「女性皇族の地方公務に配偶者が同行する場合」というのはかなり具体的な想定です。これは愛子さまや佳子さまがご結婚後も皇室に残り、公務を行われることを念頭に置いたものです
これによって、「暗雲が垂れ込めていた愛子さまの将来に一筋の光が差し込みました」(同・皇室記者)と言うのですが…
この匿名の「皇室記者」(怪しい)、本当に議事録読んだんですかね?
「政府関係者」というのはおそらく山崎重孝・内閣官房参与・皇室制度連絡調整総括官で、コメントは下記の答弁に基づいていると思われます。
例えばその内親王殿下と一緒に御出張なさるときに旅費が出るとか、それから、そのときに従来の自分のお仕事をお休みになって何かするときの費用弁償をするとか、あるいは、例えば御用地の中に内親王がお住みになるときに、その内親王とともに家庭生活を送るのであるから、その御用地に一般の民間の方でありますけれどもお住みになるとか、そういうことは十分にあるだろうし、それから、一般の警察でなくて皇宮警察が皇族方をお守りしておりますが、その方々を内親王とか女王と一緒に行動なさる方として皇宮警察がお守りするようなこともできるだろうというふうに考えたことはございます。
ところが、実は議事録中の答弁は次のように続きます。
ただ、なかなか難しい部分がありますのが、日本国憲法上、皇族と天皇というのはその例外になっておりますけれども、華族制度とか貴族みたいなものをつくってはいかぬという条文がありますので、そういう面からすると、身分的なものとかそういったものが何か皇族と一般人の間にあるというのはなかなか難しいのではないかということの議論をしたことが内部でございます。
これは明らかに、女性皇族の配偶者や子が事実上の「皇族と国民の間の新たな身分」になってしまう事を鑑みての実現性の難しさを述べているのに、匿名のコメント「皇室記者」およびこの記事全体は、前半のみを拡大解釈した上でミスリードを誘うものです。
現実に一般国民の女性が男性皇族とご結婚され皇族となっているのだから、それに準ずれば良いだけの非常にシンプルな話なのに、実現困難なアクロバティックな方策まで持ち出して認めないのは「女だから」という男尊女卑以外の何者でもありません。
事もあろうか「女性週刊誌」である女性セブンが、ミスリードを誘ってまで男尊女卑の後押しをして、表面的にはポジティブな話題のように装ってよ、女性皇族の前の「暗雲」をより一層濃くしようとするとは、一体どんな了見なのでしょう?
女性セブンは、ほぼ全ての号の表紙に、皇室関連の見出しや皇族のお写真を掲載していますが、不正確な記述で男系男子固執を後押しするような所業は、「商売のタネ」にしている皇室、そして読者をバカにしている所業に他なりません。