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高森明勅
2025.3.12 21:40皇室

皇居勤労奉仕で畏れ多くも天皇陛下のご会釈を賜った

このところブログの更新が滞ってしまった。
近況の一端を記しておこう。

3月4日〜6日、皇居勤労奉仕。
奉仕の期間中は毎朝、午前4時に起床した。

ご奉仕のメンバーは現役の大学生を含め、
20代·30代の若者達。私だけ少し(?)年齢が離れている。
彼ら彼女らは、ご奉仕を控えて2月25日に事前勉強会を行い、
私の講義を聴いている(懇親会も)。
コロナ禍前は4日間の奉仕だった。
だが再開後は3日間の場合もある。

20代の団長がこれまで毎月、その時々で参加可能な
15名以上のメンバーを確保しながら、名簿を整えて
宮内庁にエントリーし続けて、やっと抽選に通った。
その努力に感謝。

3日間の奉仕の場合は皇居だけで、
赤坂御用地でのご奉仕が無いようだ。
皇居内は、天皇陛下の御所や宮中三殿がある「西地区」と、
首相の任命や一般参賀などが行われる宮殿がある
「宮殿地区」、一般に公開されている東御苑がある
「東地区」に、3分割される。

我々の勤労奉仕は、初日が西地区、2日目が東地区、
3日が宮殿地区の予定だった。
しかし、2日目は天候不良の為に、
午前中に東御苑を見学したくらいで、
午後は中止になってしまった。
しかしメンバーの一部は、私が紹介した、
靖国神社遊就館の特別展
「終戦80年戦跡写真展ー今も残る英霊の足蹟」
(3月1日〜12月7日)を拝観に行ったようだ。
この展示には、ジャーナリストの笹幸恵氏が
全面的に協力されている。

この日、私は奉仕の後、「FLASH」編集部から
悠仁親王殿下のご成年記者会見を巡り、取材を受けた。
これは、弁護士の菅野志桜里氏、漫画家の小林よしのり氏の
コメントと共に、3月10日にWEB上公開の「SmartFLASH」と、
更に同じ内容が「FLASH」3月11日発売号に、掲載された。

このテーマで、この3人にコメントを求める
編集部の着眼が、面白い。
3日目は午前のご奉仕が一区切りつくと、
他の奉仕団の人たちと一緒に蓮池参集所に移動。
ここで、天皇陛下からご会釈を賜った。

建物の前にお車が止まり、陛下が一歩、
玄関から中にお入りになった瞬間から、
時間の流れ方自体が変わる。
奉仕者一同、最敬礼でお迎えする。
堅苦しい形式ではなく、自然に頭が下がる。
ご会釈の時間はごく僅か。だが、とても長く感じる。

陛下の御前での若き団長の奉答が立派だった。
団長へのご下問で、とっさに思いもよらぬ
お心配りに接し、恐縮した。
そのことに、メンバーはほとんど気付かなかったようなので、
後から私が少し説明すると皆、深く感銘を受けたようだ。

昼食は毎日、休憩所の窓明館で摂る。
この日、窓明館に帰ってスマートフォンを覗くと、
永田町関係者から連絡が入っていた。
3月10日に予定されている衆参正副議長が
全政党·会派に呼び掛けて行われる全体会議の件。

つい先程、陛下からご会釈を賜り、
心が清めれた気持ちになっていたのだが、
いきなり世俗に引き戻された。
しかし勿論、大切なことなので、
食事は後回しにして大急ぎで対応した。

ご奉仕が全て終わって、
大手町の居酒屋で打ち上げ。大いに盛り上がった。

私はこれまで、天皇には「3つのお立場」があること。
それに対応して「3つのお務め」があること。
それぞれに「3つの皇位継承儀礼」が対応していること。
更にそれらに当てはまる「3つの憲法の規定」
があることを、整理して来た。

今回、皇居内が分割されている3地区のそれぞれも、
天皇3つのお立場、お務めなどに対応している事実に、
改めて気付いた。

この事実は、天皇の本質を巡る私の捉え方が
大きく的を外していないことを裏付けてくれていると感じられて、
嬉しかった。
しかし、これについて詳しくは改めて。

なおメンバーの報告によると、
奉仕の3日間で皇居内を約7万歩ほど歩いたらしい。
私はそれにプラスして、朝晩の愛犬2匹の散歩も
欠かしていない。
でも幸い、疲労感や筋肉痛はさほどなかった。

3月8日、高森稽古照今塾。私の誕生日が近いので
花束とネクタイのプレゼントを貰った。
みんな有難う。
その後の懇親会でも、サプライズでお祝いのケーキが出てきた。

今年の誕生日(3月14日)で68歳。

父が64歳で亡くなっているので、
自分がこんなに長く生きるとは思っていなかった。
悔いなく生きた亡父と比べて、無駄に長生きをして
恥ずかしいばかりだ。

3月10日、
全政党·会派よる「旧宮家系子孫養子縁組プラン」を巡る全体会議。
立憲民主党が当事者の意思確認を求めたところ、
内閣法制局は、今の皇室典範では養子縁組が禁止されている為に、
制度改正後でなければ意思確認ができない、
という不思議な没論理を開陳したという。

現制度下で養子縁組が禁止されていても、
国会でそれを部分的に認める制度改正を検討するなら、
その対象者の意思確認は不可欠の手続きであり、
養子縁組の手前の意思確認まで禁じる法令は
どこにも存在しない以上、それは勿論違法ではなく、
逆にもし意思確認をしなければ制度改正が
実効性を持ち得ることを証明できない。
政府は何を逃げているのか。

又、同プランへの憲法違反の疑いについて、
衆院法制局が肯定·否定どちらもあり得るとの
スタンスを示したのは、要するに疑いを
“否定し切れない”との立場なので、注目に値する。

この協議での、立憲民主党の
野田佳彦·馬淵澄夫両議員の奮闘に、敬意を表する。
他にも、本来の課題であるはずの女性天皇·女系天皇の
議論を呼び掛ける諸政党が存在するのは、貴重だ。

同日、プレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」
の原稿を書き上げた。
悠仁親王殿下のご成年記者会見がテーマなので、
今月の公開は前倒しで3月13日
(タイトルは編集部の裁量で私は関わっていないので念の為)。

【Smart FLASH】
https://smart-flash.jp/sociopolitics/333355/

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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