ゴー宣DOJO

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笹幸恵
2025.2.18 21:18皇統問題

皇族数確保の与野党協議、もうメチャクチャだ。

昨晩、タイから帰国しました。 

さて今日の読売新聞。
 「安定的な皇位継承に関する与野党協議」の
内容について報じている。
 https://www.yomiuri.co.jp/politics/20250218-OYT1T50000/ 
事実を淡々と述べているようでいながら、
書くべきことは書かず、男系原理主義(=男尊女卑)を
そこはかとなく匂わせているところが
誠にいやらしい記事である。 

今回の協議は「女性皇族が結婚後も皇室に残った場合、
夫と子供の身分をどうするか」について。 

まずは与野党の主張を見てみよう。 
自民、公明、維新、国民民主などは、 
「一般国民としての権利を保持し続ける観点などから、 
皇族の身分を認めるべきではないとの考え」 だという。 

さっそく意味がわからない。 
「権利を保持し続ける観点」がそもそも必要なのか? 

具体的には、 
「皇族の身分付与で結婚後の職業選択の自由などが 妨げられ、
結婚そのものの阻害要因になりかねない」 
(自民、公明) 

「母方のみが天皇の血を引く『女系天皇』に 
つながりかねない」 
(自民) といった意見を紹介している。 

職業選択の自由? 
男性皇族の妻になった女性は皆、職業選択の自由を 
失っているけども。 
それは「女だからいい」んですかね? 
発言した議員も、この発言を取り上げた記者も、 
まさか皇后陛下のキャリアを知らないわけではあるまい。 
女のキャリアは取るに足らないものだとでも?? 
しかも「結婚の阻害要因になりかねない」などと 
女性皇族を慮っているかのような発言、偽善的で反吐が出る。 
根底にあるのは「男は外、女は内」といった 
昭和的価値観そのものではないか。 
化石にでもなっとれ。 

自民にいたっては、もうウンザリするほど聞いた 
「女系天皇につながりかねないからダメ」論。 
こっちは脳がバグって再起動もできない状態か。 
アップデートなど夢のまた夢。 
男系(父系)こそが日本古来の姿だと、 
それを堅持するのが保守の真髄だと思い込んでいる 
バカが自民にはまだウヨウヨいるということだ。 
読売新聞、こんなものが有用な意見だと本当に思っているのか?

 転じて立民の主張の紹介はこちら。 
「夫が一般国民のままであれば、被選挙権の行使などで 
政治的な言動や発言をした場合、女性皇族の立場への 
『支障が考えられる』」 
(馬淵澄夫議員) 

「女性皇族が一体の家族として生活していけるかどうか 
想像してほしい」 
(野田代表、都内での講演にて) 

両論併記はいいが、このあとがいけない。 
身分を認めないことについて立民は、 
夫婦同等の権利などを定めた憲法24条などとの 
整合性を指摘している。 
ただ、内閣法制局などはこの日の会議で 
「憲法上の問題は生じない」との見解を示した。 

この記者、内閣法制局の言葉を借りて、 
暗に立民の主張を退けた格好だ。 
憲法上の問題は生じなくても、野田代表が発言したように 
「一体の家族として生活していけるかどうか」を 
ちょっとでも考えれば、わかるだろうに。 
記者は、数ある宮様詐欺を知らないのか? 
自由に外出もできない皇族の姿を知らないのか? 
どう考えても不都合ばっかりじゃないか。 

驚いたのは、国民民主の主張。 
「皇族の身分付与ではなく『一代限りの 
準皇族の扱いにしてはどうか』」 
(玉木代表(役職停止中))

 倉山かッ。 

今回の討議の紹介はここで終わっているが、 
あえて書かなかったのか。 
東京新聞はその先を書いている。 
会議後の記者会見で、玄馬衆院副議長が 
女性皇族の配偶者や子を「準皇族」とすることについて、 
内閣法制局の担当者が憲法上問題があるとの認識を示した 
のだという。 
立民の意見を内閣法制局の見解で退けておきながら、 
準皇族についての見解は記さない。 
都合の悪いことは書かなければいいとでも? 

ただし、内閣法制局は「(準皇族の)人権を制約する場合には
どのような理由が許されるのか検討が必要」とも言っている。
また衆院法制局は「準皇族的な待遇も考えられる」
と言っている。
もうメチャクチャだ。
憲法上問題があると言ったそばから
人権を制約する理由の検討が必要だと言う。
「準皇族的」などとあやふやな言葉を使う。
与党に忖度して軸がぶれまくっているとしか思えない。



話は読売新聞に戻る。
リードで記していた 「安定的な皇位継承に関する与野党協議」 
は正確ではない。 
女性皇族が結婚後も皇室に残ることは、 
有識者会議が「安定的な皇位継承」という命題から 
逃げた結果の「皇族数の確保」プランの一つだ。 
しかも与党が(女系になるからと)夫と子供への身分付与に 
反対しているのだから、安定的な皇位継承など望むべくもない。 
自分で書いていて疑問に思わなかったのだろうか。 


だいたいこの議論、 男性皇族と結婚した一般女性は皇族となるのだから、 
女性皇族と結婚した一般男性も皇族となる、 
当たり前でしょ? 
たったこれだけで済む話。 
それを自民や公明や維新や国民民主は ヘリクツこねくり回して時間の浪費。 
いい加減にしろ。 


保守を気取る自民党議員(それに忖度する法制局、読売新聞)へ。 
あなた方は、女性皇族をどれだけ生きづらくすれば 
気が済むのですか?? 

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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