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2025.2.5 07:00ゴー宣道場

徹底比較『フランス革命の省察』の訳し方⑦ 革命派は“賢者の石”詐欺に遭った人と同類/啓蒙」という詐欺行為

徹底比較『フランス革命の省察』の訳し方⑦byケロ坊

 

12.革命派は“賢者の石”詐欺に遭った人と同類

佐藤健志版(PHP研究所)
「「教会から没収した資産さえあればどんな支払いにも困るはずがない。」こんな狂信的な思い込みのせいで、革命派のペテン師どもは、健全な財政運営の必要性を見事に無視している。
ちょうど「錬金術」にハマったアホな連中が「賢者の石」を追い求めたあげく、スッカラカンになるのとそっくりだ。」

二木麻里版(光文社文庫)
「これらの哲学者たちは教会を略奪すればすべては実現可能だという狂ったような確信を抱いていたため、公共財産に対するあらゆる配慮を忘れたのです。
それはまさに賢者の石という夢のために錬金術のもっともらしい幻想に動かされた愚者が、自分の財産を増やせる合理的手段をことごとく無視するようになったのとおなじです。」

中野好之版(岩波文庫)
「教会掠奪策の万能さへの彼らの狂信的な信頼は、これらの哲学者に、ちょうど哲学者の夢の石が一部の間抜けな人間を惑わして、錬金術の一層もっともらしい妄想で彼らの財産を改善する一切の合理的手段を投擲させたのと同様に、公共資産への一切の配慮を無視させた。」

ここは230年前から「錬金術は幻想」と断言していた記述が面白かったので、他はどう書いているのか気になって取り上げてみました。
中野版はかなり直訳調で読みにくいですが、これが原文に近いのでしょう。
佐藤版は例によってかなり変えていますが、一番わかりやすくなっているとも言えます。

こちらは教会から略奪した資産で国の財政は回るとタカをくくっていた革命派を批判している部分なので、フランス革命は王室だけでなく宗教も否定していたことがよくわかります。
迷信に取り憑かれて暴走という点では、男系派はもちろんですが、「オールドメディアを潰せばオールOK」「週刊誌に書かれた人はキャンセルすればオールOK」と思ってる、SNS、YouTube、TikTokにいる人たちのことも含まれますね。

 

13.「啓蒙」という詐欺行為

佐藤健志版(PHP研究所)
「「啓蒙」の名のもと、世界が闇に包まれてしまった現代においてこそ、サギを強制的に受け入れさせることが可能になったのである。」

二木麻里版(光文社文庫)
「この啓蒙の時代のぶ厚い闇に、かすかに射しこんでくるかもしれない理性の小さな炎を消すために、暴力が使われるのです。」

中野好之版(岩波文庫)
「これは、この啓発された時代の深い暗闇へ差し込む理性のかそけき光明を消すために、我々の時代まで取って置かれた。」

直訳調の中野版は読みにくく、佐藤版は読みやすいですがかなり言い回しを変えてしまっています。二木版の翻訳のバランス感覚がいいなと思いました。

内容としては、「啓蒙は良い」という感覚自体が「闇」ということで、グローバルな人権カルトに啓蒙された左翼はキャンセルカルチャーに闇堕ちして、男系カルトに啓蒙されてしまった哀れな人が男系固執ネトウヨに闇堕ちしました。

ちなみに僕が今もゴー宣読者なのは啓蒙されたからではなく、論理や常識や仕事現場での知見に照らして正しいと考えた結果です。バークの文章に理があって正しいと考えたのと同じであって、啓蒙されたからではありません。
バークは啓蒙を嫌っていて、なぜなら歴史の連続性としての常識や偏見を重んじる考えだからですね。

皇統問題は政治家だけが問題で、国民に向けての啓蒙は必要ないのとも同じです。
むしろ「天皇は男系なのを知らない無知な国民」←このような思い上がった態度こそが、フランスの革命派と同じ、「俺様が啓蒙してやる」という暗い詐欺行為であり、日本の歴史と常識に背を向ける左翼の考え方と言っていいでしょう。

ただ残念ながら、日本には男系カルトのペテンに乗っかる、常識の欠如した異様な政治家がそれなりにいたということです。

 

「皇位継承の危機から見た『フランス革命の省察』
~男系派が全然保守ではない23の理由」

第1回
プロローグ
1.保守は逆張りではない
2.言葉の中身、論理の有無

第2回
3.設計図の欠陥を指摘すること
4. 「人権はヤバイ」と230年前から言われていた
5.「国をどう動かしていくか」という国家観
6.王と伝統との関係

第3回
7.   王室や伝統だけでなく、キリスト教も弾圧して貶めたフランス革命
8. 「Revolution」は全然カッコいいものじゃなかった
9. 「理性主義」の危険さ
10. 福澤諭吉との共通点(保守としての生き方)
11. 革命派の女性差別に怒る保守主義の父

第4回
12.「オレ様が啓蒙してやる」という態度は非常識なもの
13.固執と改善の話
14.『コロナ論』との共通点
15.愛郷心の大事さ
16.「自由」の意味
17.固執は無能の証

第5回
18.思いっきりリベラルなことも言ってた保守主義の父
19.革命派をカルトに例えるバーク
20.男系闇堕ちした石破と、妥協が技らしい野田のことも言われてる
21.国体を保守すること
22.歴史を省みない“うぬぼれ”
23.頭山満との共通点

 

徹底比較『フランス革命の省察』の訳し方
第1回
1.「人権は爆弾」と言ってるところ

第2回
2.革命派・人権派による王室否定と女性差別の指摘
3.「prejudice」の訳し方

第3回
4.常識が失われることへの警戒
5.困難に立ち向かうこと

第4回
6.自国の歴史を省みないのはうぬぼれ
7.迷信に執着するのは保守ではない

第5回
8.政治家への評価の基準
9.『コロナ論』とも共通する病気への対処法について

第6回
10.「バランス感覚」という言葉の有無
11.愛郷心の大事さ

 


 

 

「性上納」がデマであることが判明したのに未だにフジテレビを叩く空気が収まらないのも、どう見ても何の関係もない日枝氏を引きずりおろそうという声が止まないのも、まさに、とにかく大きいものを叩き潰せばいいことが起こるという迷信に憑りつかれて、正気を失っている姿にしか見えません。

こうしていつの時代・どこの国でも、プチ革命の狂態は繰り返されてきたのだろうし、その際には「啓蒙」によってなけなしの理性もかき消されていたのだろうなあと思うばかりです。

 

 

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