ゴー宣DOJO

BLOGブログ
笹幸恵
2024.12.30 01:28日々の出来事

駄文の極致ー『SPA!』倉山記事

『SPA!』12/31・1/7合併号の倉山記事。
今回はシリアのアサド政権崩壊(アサドの亡命)について。
なんで倉山がわざわざシリアを取り上げるのか、
その必然性も必要性もさっぱり不明だが、
相変わらず「オレ様はこんなことまで知ってるんだぜ」
というマウンティングが目的だからしょうがないか…。

今回は、とりあえず知っていること、調べたことを
「ただ並べました」感が半端ない(いつもそうだが)。
まずは概略を紹介する。

①シリアで、50年続いたアサド家の支配終了。
「アサドの亡命に歓迎の向きが多い。
しかしシリアの事情に通じる者は、
最悪の独裁者を倒しても平和が来るとは限らないと
警戒する」

②(問いを立てる)
「そもそも、この悲劇はどうして起き、続いたのか」

③(シリアのあゆみ)
・イスラエルと敵対、クーデターや中東戦争が続く中で
独裁者となったのが先代アサド。
・長男を後継にしたかったが、死んだので
その弟のバシャール・アサドが大統領に就任。
「バシャールはイギリスで眼科医をしていた。
我々と同じ人権感覚を持つ文明人である」
「イギリスでも『あの人のお父さん独裁者らしいけど』と
疑われるくらいの『陰キャ』」
・二代目アサドはシリア内戦で独裁者になった。

④二代目アサド、亡命。
「今回のアサド政権崩壊に際し、シリア人のほとんどは
喜んでいるという。だからと、これが希望溢れる未来の
到来とも思ってもいないとか」
(笹注:①と重複気味)

⑤結論
「正義は勝つなどと、単純ではない」

……。

意味不明な一文、段落が相当に多いのだが、キリがないので割愛。
何しろ、結論が最大の意味不明文だから!!!
「正義は勝つなどと、単純ではない」
そもそも正義の話なんてどこにも出て来てないけど?
何が正義かも明確にしていないけど?
とりあえず「何かそれっぽいこと書いとこ」レベルでしょ、これ。
読者をバカにしてるのか?
マウンティングどころか浅知恵が漏れ出ちゃってるし。

しかも二代目アサドを
「我々と同じ人権感覚を持つ文明人」などと書いているが、
その根拠が「イギリスで眼科医をしていた」から。
なんだ、そりゃ。
イギリスにいれば文明人なのか?
医者なら文明人なのか?
あまりに雑で、差別感丸出しの幼稚な発想。

「我々と同じ人権感覚」という言い回しも非常に危険。
この説明を、倉山は
「習近平やプーチン、金正恩に『人を殺してはならない』と
説教しても『なぜ?』と返ってくる」
と書いているが、これは「我々と違う人権感覚」について
述べただけで、「同じ人権感覚」の説明になっていない。
そもそも個人の人権感覚自体、立場や境遇によっていくらでも変わる。
容易く「同じ」などと言うべきではない。
しかもそれを「文明人」などと括るべきではない。
しかし倉山、そこは一切スルー。それどころか
「イギリスに住んでたから」「医者だから」などと
わかりやすい「ラベル」だけで単純化。
もともと幼稚なのか、劣化したのかしらないが、
とても言葉を扱う仕事をしている人の思考とは思えない。

そして、②「そもそも、この悲劇はどうして起き、続いたのか」の
問いに対する答えがない。
はい、出ました、いつものね。
問いは立てるがウンチク優先。
忖度すれば、この悲劇が起きたのは、
「陰キャ」が表舞台に立って周りから舐められて、
内戦になって力で抑えつけたから、かな?
とすると、今回、倉山が一番言いたかったことは、
「あの極悪非道なシリアの二代目アサドは実は陰キャだったらしいよ」
ってことだけだ。

相変わらず筋道が立ってないから、
「亡命は歓迎するが、これで平和が来るなどと単純には喜べない」
といった意味の文章が記事の最初と最後に来る。
グダグダ書いて、振り出しに戻る、これもいつものパターン。
手放しで喜べないなら、それがなぜなのか、
シリアの内情に合わせて綴らなきゃ。
それが記事を書く必然性であり、必要性では?
それ、できてないでしょ?

できてない(わからない)のに書こうとするな。
意味不明な締めでお茶を濁すな。

駄文、ここに極まれり。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

次回の開催予定

INFORMATIONお知らせ