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笹幸恵
2024.12.2 20:41皇統問題

『SPA!』倉山記事ー中身が空っぽだから鎧で固める。

周回遅れになってしまったが、
『SPA!』12/3・10号の倉山記事について。
何とも見事な上っ面文章。
政治にしろ皇統問題にしろ、どれほど読み込んでも
この人は何が言いたいのかわからない。
この原因が、今週の記事ではよくわかった。


冒頭は兵庫県知事選で齋藤前知事が再選されたことに触れ、
「日本でも大メディアがSNSに屈する日が来たか?」
と問うている。
ならば、まず自分が選挙期間中のSNSの影響をどう捉えたか、
意見を表明するのが筋だろう。
「けしからん」でもいいし、「当然だ」でもいい。
その上で、SNSの利点や問題点を洗い出し、分析し、
導き出した結論を読者に納得させる(あるいは考えさせる)。
それが「知識人」とか「言論人」の役割だろう。

ところが倉山は人を納得させる術を知らない。
言うことといえば、
「NHKだけは(当確を)遅くまで出さなかった。
よほど悔しかったとみられても仕方あるまい」
だの、
「傍から見ていて兵庫県知事をめぐる騒動は、
何だったのかと思う」
だの、愚にもつかぬ見解やつぶやきを綴るだけ。
そしてこう述べる。

問題は「SNSの情報を信じた県民が齋藤知事を
勝たせた」という事実だ。

だから、その問題をどう受け止めたの?
いよいよ本丸に切り込むのかと思いきや、
テレビで謝罪したアナウンサーがいるとか、
政治家は官僚に頼り切っているとか、
なかなか着地しない。

後半、そろそろ着地に向けて降下態勢を取るのかと思いきや、
あれれ…税金の話、地方議会の話、そして大久保利通!

着地する(自分の見解を述べる、本質=選挙のあり方に切り込む)
と見せかけて、すぐに違う話題へと飛んで行く。
見事なタッチ&ゴー!!!


で、終わりはこちら。

強い民こそが強い国を作る。まずは選挙からだ。

だからその選挙の問題点はなんなの?
何か言いたいことがあるから
兵庫県知事選を取り上げたのではないの??
…これ、ギャグなの???

攻撃目標があるのに、なんやかやと理由をつけて
タッチ&ゴー、そして目標に到達しない(できない)。
そりゃ上滑りもするわ。
とことん掘り下げて思考することができない代わりに、
どっかから仕入れてきた「知識」をせっせと取り入れて、
理論武装したつもりになっている。
武装も何もないよ、理論になってないんだから。

こういうタイプは、本当は真実と向き合う勇気がない。
だから「ストロング」だの「強い日本」だのと
言葉尻だけは威勢が良くなる。
先週のブームは「大国」だったしね。
カチカチに固めた鎧の中は空っぽなのだ。
空っぽだから、鎧を固める。


【教訓】
選挙も、「言論人」の書いた記事も、
「本質は何か」を見極めないと
たやすく煽動される。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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