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小林よしのり
2024.10.19 06:33日々の出来事

「保守」の流行、「伝統」の原理主義化、「リベラル」の退廃

権力を握るためには「保守」でなければならないと
考える政治家が圧倒的に増えた。
石破茂から野田佳彦から、その中間勢力まで。
「保守」という言葉に対するコンプレックスは、
昔に比べて相当に肥大化している。
「保守」でなければ、一般庶民の生活感に浸透しない
と思われ、「保守」はほとんど「保身」と同異議に
捉えてしまわれるようになった。
「保守」と「保身」の違い、これをうまく説明できる
者はいないだろう。
そこに「伝統」という言葉を放り込めば、これはもう
金縛りにあったように従順に平伏してしまう。
誰も「伝統」とは何かを説明できないのだけれど、
「伝統」を知らない保守なんて、保守とは言えないと
信じられてはいる。
「男系男子こそが伝統」という神話は、こうして
「自称保守」の間に浸透し、神話化され、原理主義と
なってしまった。
高市早苗に代表されるまでネトウヨ化した者たちは、
もう自分を相対化できない人々である。
脳の新陳代謝が終わっているのだ。
ほとんど懐古趣味の人となるから、その懐古は昭和の
高度経済成長の時代こそが日本と思い込んだり、
その源流が明治の近代化に端を発することにも気づかない。
一方、「リベラル」という観念は、知識人の間でいまだに
根強いが、その実、馬鹿にされている。
実際、一般庶民と遊離した「理想」「人類の理想形」を
想定しているのが「リベラル」で、ある意味子供っぽい、
ある意味偽善的という偏見がすでにこびりついてしまった。
それを「左翼」と感じる者は多く、「リベラル左翼」という
「偽善」に、積極的にそっぽを向く者たちは、そうして
「薄っぺらいホシュ」や「ネトウヨ」に傾倒していくのが
最近の状況だ。
それが政界という場所には、凝縮して現れるようになって
しまった。
これをなんとか俯瞰して、右から左にまで明快に示す作品
を創らなければならない。
『愛子天皇論3』でそれをやるために、全ての他の仕事を
停止する日々が必要だ。せめて一週間でも。
それが今のわしに出来るか?

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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