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笹幸恵
2024.8.15 09:12日々の出来事

ガダルカナル島の中国進出状況

ソロモン諸島は2019年に台湾と断交、
ソガバレ首相(当時)は中国と国交を樹立した。
最近では治安維持に関する協定も結び、
首相が代わった今も中国寄りの姿勢に変化はない。

ソロモン諸島の中国企業進出の象徴的存在が、
サッカースタジアムやテニスコートなどを擁する
広大かつ近代的な競技場だ。
話には聞いていたが、今回初めて目の当たりにした。


ここは昨年、南太平洋諸国の競技大会
「パシフィックゲームズ」の会場となった。



道路から、でかでかと看板が見える。
よく見ると・・・。


えげつない。


メインロードを西に進むと、さらに仰天。


かつて総攻撃失敗後、日本軍が持久戦のために
布陣した地域一帯が、なんと宅地開発されている!!!
近くのでっかい看板には、部屋数別に間取り図が掲示され、
「NEW CAPITAL CITY」
「THE GOOD LIFE BEGINS HERE」
といった文字が並ぶ。
家族や村落の結びつきが強いソロモンで、
新たにこの地で生活しようとする人がどれほどいるのだろう。
住むのは相当な富裕層か、中国人か?

その他、イル川の河口附近には
「一木支隊奮戦之地」という碑がある。
一木支隊とは、米軍の飛行場占領後、最初に上陸した部隊だ。
河口附近で一木支隊(第一梯団)約800名が戦死している。
これまで碑の周囲は草むらに埋もれていたり、なぜか隣に畑が
できていたり、毎年のように景色が変わっていたのだけど、
今回は激変。中国企業の開発により、附近一帯は工事中。
碑は辛うじて保たれていたけれど、周りは工事で使う砂利が
あちこちで山積みになっていた。
今後、訪れることができなくなるかもしれない。


中国企業進出の前(左)と後(右)

開発を行う企業は「CCECC(中国土木工程集団有限公司)」。
海外各地で土木設計等のプロジェクトを行う大規模な国有企業だ。
首都ホニアラを走るメインロードは、あちこちで工事が
行われていたが、これもCCECCによる。


メインロードの左右で工事が行われている。
道路拡張かと思ったが、水道管工事のようだ。

あっちも中国。こっちも中国。
中国に傾斜する政府のやり方に暴動が起きたこともあったが、
今は一見すると静か。
ソロモン諸島の場合、親中派がイコール反日とは限らず、
親日派が反中とも限らない。
しかし、かつてガダルカナル島や対岸のツラギ島は、
米豪連絡線を遮断するための重要な拠点となり得た。
だから日本はここに飛行場を建設し、米軍と激突した。
その地政学的な価値は、今も変わらない。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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