「ポチる」は、ネットの通販サイトで購入ボタンをつい「ポチッ」と押して「買ってしまう」事を指す俗語です。
一方、国際政治の場においての「ポチる」は、自主独立の気概を放り捨てて、従順な飼い犬(ポチ)のように他国へ従属して「自国を売りわたす」事を指します。
私が過去最大級に「ポチッとる!よーしゃなくポチっとる!」と思ったものの一つが、2015年にアメリカの上下両院合同会議で行われた安倍元首相の演説です。
外務省のサイトに日本語版が掲載されているので、まずご一読ください。
どうです?10年近く経った現在でも(だからこそ?)色々と、本当に色々と思う所がありますが、まず一ツッコミ
戦後の日本は、先の大戦に対する痛切な反省を胸に、歩みを刻みました。自らの行いが、アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない。
この強い自虐史観、他の人が一字一句同じ事を言ったら、安倍さんを特に熱烈に支持していた層から思いっきり叩かれそうですが、その辺りどうなのでしょう?
まあ、それは本題ではなく、今日この演説を引っ張り出してきたのは、その中で「民主主義」という言葉がやたらと多く(数えてみると9回も)出てくるからです。
中でも仰天するのは
日本にとって、アメリカとの出会いとは、すなわち民主主義との遭遇でした。出会いは150年以上前にさかのぼり、年季を経ています。
ほう!慈悲深いペリー閣下は、絶大なる好意の下に日本へ民主主義をもたらすべく黒船で来訪されたのですな!これも、他の人が言うと安倍さんのファンが怒りそう…。
この先、ポチッとなーが止まらなくなって、ついには
焦土と化した日本に、子ども達の飲むミルク、身につけるセーターが、毎月毎月、米国の市民から届きました。山羊も、2,036頭、やってきました。
米国が自らの市場を開け放ち、世界経済に自由を求めて育てた戦後経済システムによって、最も早くから、最大の便益を得たのは、日本です。
おおお、焼夷弾どころか原爆まで使って日本を徹底的に焦土化した当事者である慈悲深いアメリカ様から物資を恵んでいただいたばかりか、商売まで手助けしていただき、有難や有難や!ワンッ!ところで「戦後レジームからの脱却」がどうのと騒いでいる人がいたような…。
そして、日米同盟を指して
自由世界第一、第二の民主主義大国を結ぶ同盟に、この先とも、新たな理由付けは全く無用です。
と高らかに宣言!自由世界第一の民主主義大国であるアメリカ兄貴、どこまでもついて行きますぜ!!!
…はぁ(ため息)。
さて、話題はかわりますが、イギリスのエコノミスト誌が、60あまりの指標から各国をランキングした「民主主義指数」というものが毎年発表されています。
2023年版で、日本は16位。わー、「第二の民主主義大国」なんて自身まんまーんに言ってしまい、恥ずかしかとでしゅ…。
さて、アメリカさんは…あれ?1位にいないぞ?
29位で「欠陥民主主義」の評価…。
もちろんこれは、一つのメディアが独自の基準で出したものに過ぎませんが…これは、アメリカ兄貴を追い越して日本の時代来ちゃった?もはや戦後ではない?ジャパン・アズ・ナンバーワン!?(いや、16位だってば)
結局、安倍さんが演説中で用いた「民主主義」という言葉は、アメリカをヨイショするための、太鼓持ちならぬ「太鼓ポチ」ワードだったのでしょうね。
だけど、「よくわかんないし、なーんにも考えてないけど、良いとされているもの」という意味では、太鼓ポチはまさに「民主主義という語の最も一般的な用法」に該当するのかもしれません。