FLASH8月20・27日合併号掲載、
『夫婦の絆』感想ご紹介です!!
【枯れ尾花さん】
「夫婦の絆」第17話の感想です。
今回は何よもまず、見開きの画が圧巻でした。夢、または空想と現実の融合したような超現実的風景とでもいうのか、もしかすると先生はシュールレアリスム的画法を用いられたのではないかと推察しましたが、この一枚の画を観ることで沙耶と蜜子の心の内を感じ取るのだ!と言われているような気が致しました。因みに私は彼女達の深い悲しみ、囚われの身、しかし諦めない強い意志といった文言が画から右脳経由で左脳に浮かんできました。
この作品はミステリーホラーのジャンルに入るものかなあと当初は思っておりましたが、そのためについ、ストーリーの推理や解釈ばかりをしてしまっておりましたけれど、小説では決して成すことのできない画によって視覚から直接右脳、感性に訴えかける先生の画力こそがこの作品の重要な要素なのだと感じました。
また、沙耶が別の世界から乳児期の一郎と彼の母親を現在の彼と蜜子の前に連れてきましたが、ここでは私の好きな宇宙SF的要素、今巷で話題となっているマルチバース(多元宇宙論、平行宇宙論)のアイデアが用いられているように思いました。沙耶は残留思念となったことで平行に存在する別宇宙、異世界を自在に移動することができるのですね。そしてこれは、一度はルサンチマンに囚われた沙耶が来る漫珠と真黒刑事のルサンチマンコンビの策略に対し二人に前もって心の準備をさせておくために打った手ではないかと思いました(いかん、また左脳ばかりを使って推理に走っとる・・・)。
いずれにせよ、先生の代表的作品になるであろう「夫婦の絆」、これからのラストに向かう展開が益々楽しみになっております。
ここまで来ると、もう代表作確定か?
70歳過ぎて新たな代表作が出来るなんて、どの作家にもできることじゃありません!
しかもこれはミステリーホラーなのか、サイコサスペンスなのか、はたまたSFなのか、しかもギャグも入ってくるし、様々なジャンルを飛び越えてくる、見たことのない得体の知れない作品だというところがまたすごい。
このままクライマックス、どこに到達するのかまったく分かりません。
固唾をのんで見守るしかありません!!