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小林よしのり
2024.7.25 09:11日々の出来事

夢とルサンチマンと権威主義

わしは夢しか見ない。70歳過ぎてもまだ夢しか見ない。
しかもなるべくスケールの大きな夢しか見ない。
全くあり得ない夢を語っていたら、誰もついてこない。
70歳過ぎても、まだあり得ると思ってしまうから、
人はついてくる。
そこには大いに打算もあるだろう。
この人について行けば、損はしないと計算するのかも
しれない。
いや、それなしに70歳のジジイについて来るはずない。
詐欺師が騙す手口と同じなのだろうか?
一番シビアに判断できるのはアメリカの銀行かもしれない。

わしはルサンチマンに囚われることが大嫌いだ。
反吐が出る。
だから過去の恨みはどんどん忘れる。
親から「二十歳まで生きられない」と言われて育った
ことをきちんと覚えていて、作品に何度も描いているが、
恨みは忘れていて、感謝しかない。
編集者から面と向かって「もうおまえの時代じゃない」
と罵倒された記憶も鮮明に覚えているが、恨みは忘れて
しまって、感謝しかない。

成功しているからだろうか?
ルサンチマンに囚われないから成功したのだろうか?
いや、たかがこの程度で、成功したとか言っている
ようじゃ小物の証明にしかならない。
夢を見続けるにはもちろん地道な努力と苦悩はついて
回る。

しかし、世の中の権威主義には、諦めつつ敵対心を
持っていて、これだけは忘れることはないだろう。
一生戦う相手は権威主義である。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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