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大須賀淳
2024.7.21 09:47その他ニュース

死にかけた話

ある自動車工場で、清掃中だった方が機械に挟まれて亡くなるという事故のニュースを目にしました。

 

実は自分も、四半世紀以上前に同じ工場で3ヶ月だけバイトをした事があり、その際あやうく「清掃中、機械に挟まれて」死にそうになったんです。

 

その日は、4tトラックが乗る巨大なコンベアの地下にある狭い隙間に入り、台車を1台分ずつ流しては清掃するという作業をしていました。流す際は、体のすぐ側を巨大な台車が通過するので、現場の監督からは

頭とか出してると首ごと無くなるから、一番端の人は全員が離れたの確認したら合図して

と怖いお達しが。

 

ところが、私の列の端にいたおじさんが、何と言うかそのまんま「志村けんのコントに出てきそう」な危うい雰囲気で、テンション高く「はいっ!私がしっかり見ていますっ!がんばりますっ!はいっ!」と妙に張り切っているんです。

 

不安に思いながらも作業してたら、言わんこっちゃない。私が上半身丸ごと機械に入って作業している最中に、そのおじさんの「はいっ、OKでーす!」という声が高らかに鳴り響きました。

 

私は、たぶん一生の中でも有数だと思われる反射速度で「ダメダメッ、まだっ、まだいるーっ!!」と絶叫。幸いにも機械は動かされずに命拾いしましたが、ほんのちょっとしたタイミングで今回のニュースのような事になっていたかもしれません。

 

私がバイトに行ったのはもう25年以上前の話で、いまの現場がどのような感じなのかは当然まったくわかりませんが、上記の経験があったので他人事とは思えませんでした。亡くなられた方は本当にお気の毒で、心よりご冥福をお祈りします。

 

戦時下の状況などには及ばなくとも、人はいつでも誰でも、ほんの数秒後には死んでしまう可能性と共に生きているのだな、という事をあらためて実感します。

 

その「いつかは絶対に死が訪れるという究極の絶望」と対峙すると、どんなニヒリズムもルサンチマンも何とくだらない物なのだろうと思えてきます。

 

常に「命の使い方」を目一杯追求して行きたいです。

大須賀淳

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