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2024.6.27 07:00ゴー宣道場

新企画登場!小林よしのりスペシャルインタビュー「枯レルヤ」第1回『枯レルヤとは』

ついに登場、新企画!
70歳を超えた小林よしのりは、今どのような境地にあるのか?
「もう時間がない」と最近よく言うよしりんは、「人生の終焉」というものをどのように捉え、現在地をどのように認識し、これからどこへ向かおうとしているのか?
普通なら聞けないような、包み隠さぬ本音が続々登場する、超特別なインタビュー。
これが「遺書」になるかもしれないというこの記事に、よしりん先生が自らつけたタイトルは『枯レルヤ』
インタビューと構成は、ケロ坊さんです。

 

2024年6月15日(土)都内某所にて収録しました。
色分けは、よしりん先生ちぇぶさんみなぼんさんケロ坊、です。

●枯レルヤとは
ちぇ:なんで『枯レルヤ』にしたんですか?

よ:まあ70過ぎて、漫画を描いてるかどうかすら自分では予想つかなかったんだよね。あとは昔『遅咲きじじい』(※1)というのを描いてて、それは50代で描いて・・・遅咲きじじいがいいなあと思ったから描いたのか。

ちぇ:めっちゃ面白かったですよ。

よ:ところがその遅咲きじじいを描いたところがすごく生々しかったんだよね。全然枯れてないじゃんこれじゃ、みたいな。

ちぇ:ああそういうことね(笑)。

よ:結局、小便のキレが悪いとか、まだ体験してなかったんだよ。まだわかんないから勉強して描いてた。だからまだ描くには早かった、あれは。実感として描くのが早かったなあっていうのがあって・・・。

ちぇ:え、今だったら描き方変わりますか?

よ:今だったらまた描けるんじゃないかなあという気はするんだけども、ただそれでも70過ぎたら笠智衆(※2)になるか、今東光(※3)になるかというのが自分の人生のテーマだったんだけども、笠智衆にはなれないなあっていうのがだんだんわかってきたっていうかね。とすると今東光の路線で行くのかな?みたいな感じになってきてしまったわけで、それが自分に合ってるのかどうかわからんけども、とにかく、自分は「枯れた」って言っていいのかどうか。「枯れるのかどうか」「枯レルヤ」という
ところをね、もういっぺん見つめ直すということをやらないと、非常に問題があるかも知れんという。

ちぇ:なんで問題あるんですか?別に枯れなくたっていいじゃないですか?

よ:いやそれは、自分の意思で枯れるか枯れないかっていうのは決定できないじゃない。これほどまでに決定できないものなのかっていうのが70にしてわかったっていうことだよね。それで『MAD MAX』のジョージ・ミラー(※4)は79歳でバリバリ撮ってるから。あれほどバイオレンスなものを。となるとこれはわかんなくなって来たなっていう。不惑の歳に入っちゃったんだよ逆に。(論語は)40にして不惑だったかな?そう言うけども、不惑みたいな歳になってしまったなあっていうかね。で、クリント・イーストウッド(※5)もいるし。

ちぇ:だってミック・ジャガー(※6)は大須賀さんのブログに書いてあったけど、74~5歳ぐらいで子供作ってるんですよね。あははは。

よ:そうだね。ミック・ジャガーのことも考えると、これは一体いつ枯れるや?みたいな形になって来たなと。そういうわけで老人って人によって物凄く差があるじゃない?芸能人とかニュースで、今日も死んだ明日も死んだとか流れるけどさ、「えー!?」って感じでいつも思うわけだよね。そんなに早く死んでるのか?みたいな。そしたら自分の方に引きつけて考えてみるけれども、全然わかんないじゃんこれじゃあっていう状態になってるなと。ただみんな年をとるのに、年をとってどんなふうになるかっていうのを誰かを見て、当てにするっていうかね。

ちぇ:それは一つの指針にはなりますよね。

よ:みんなそう思ってるわけじゃん。そしたら、ある意味それはわしがさっさと70過ぎてしまったわけだから、自分が年とったらわしを見てもらって・・・。だいたいわしの読者って50代、40代が多いよね。そしたらその辺が年取ったらどうなるのかっていうことを、サンプルとして見られてしまうっていうのがあるから。昔だったら年とったらもっと悟りを開いた人っていうふうに見られたわけなんだよ。わしだってそう思ってたんだよ。ところが、これは全然ひょっとすると違うのかも知れない。

ちぇ:先生は悟り開いたって感じはするんですか?

よ:わしは一体悟りを開いたのかどうかわからないっていうね。やっぱり相変わらずバカなことをしている状態にあるし。

ちぇ:普通一般的な感じで言ったら、70過ぎてからライブとかしませんよ。

よ:そうだよね。それがあるたい。それがますます混迷を深めてきたんだよね(一同笑)。足腰が弱る一方だったのに、ライブをやるようになってちょっと回復してきたかな?と。

ちぇ:あーいいじゃないですか。よかったよかった。

よ:横浜のライブ(※7)のときに話したけど、風呂桶をまたぐときに、金玉をぶつけるのを恐れなければならない。ところが最近ではひょいとまたげるんで、その恐れがなくなった。これ物凄いリアルな話でしょ?そういうことを心配しなければならなくなるんですよ年とったら。女はなんともないかも知れんけど、男はぶら下がってるものだからさ。足腰弱るとまたぐこと自体に恐怖を感じるのよ。カクンッとなって、金玉ぶつけてしまう恐れがある(笑)。

ちぇ:そんなだったらまだ可愛いですからね。ホントの老人だったらほんのちょっとの段差でつまずいて、大腿骨の骨折して、そのまま寝たきりになるんですから。そんな局部のことを気にしてるならまだ可愛いもんですよ。

よ:あっそう(笑)。でもやっぱりそのへんの体・健康を気にするじゃない?だから決して昔ではないのよ。昔の若さではない。もう考えもしなかったからな、健康に対して。だいたいわしは健康診断受けないから。50になったときに一回受けただけで。そのときに北海道に行って、健康診断して、血管年齢が10歳若いって言われたから、それ以降はない。「こんなに凄い人はいない」って言われたから、院長先生に。「もういっぺん人生をやり直しても成功する」って言われたから、ええっ!?って思って。まあでも漫画以外で人生をやり直すこともないし。

ちぇ:「成功する」って言えちゃうのが凄いですよね、その人が。普通「成功する」なんて言えないですよ。だって成功するなんて体験は普通の会社員ないですから。それは先生にだからそういうこと言えるんですよ。

よ:ちょっと今の意見いいから入れといて(笑)。このへん難しいね。自分で言うわけにはいかない話だからね。言われて初めて気がついたみたいな。他人に指摘されて。っていうのもあるよね。それどうしたらいいかなって感じだね(笑)。
「もういっぺん人生イチからやり直したって成功する」って言われてしまって・・・。

ちぇ:「成功する」なんて普通思わないですね。「長生きする」とか、「もう一回やりたいことできます」とか、そういう言い方しかできないじゃん。

よ:まあそれで完全に自信を持ったというか、それ以降は健康診断は絶対受けない、と。それでやってきたわけだから。一体何なのかなあっていうさ。コロナとかでも恐怖する人って、もともと健康に対して自信ないのかな?なんなのかね?

ケ:それはあると思いますね。風邪ぐらい別に跳ね返してやるって思ってるかどうかって大きい気がするんですよ。みんな普段一応健康なはずじゃないですか。ただ風邪とか、流行り病とか言われたときに、自信を持って対応できるかっていうのがやっぱり大きいんじゃないかなと。

ちぇ:気にしなきゃいいっていうのができないんですよね。

ケ:みんな風邪ひいてすぐ病院行きますけど、もう先生は寝て治すっていうふうに決めてらっしゃるじゃないですか。その姿勢がもう違うと思います。

よ:なるほど。そうだね。それが人と違うのかどうかがよくわからんけども、たしかに風邪ひいたら一気に熱と汗を出すんだよな。それで立ち向かっていって終わらす、みたいな感じにずっとしてたからね。

ケ:最初から自然免疫で対応していたと。

ちぇ:自分の免疫力を信じて。

よ:だからそういうふうになんでみんなしないのかがわからない。そういう治療法は週刊ポストとかには絶対書いてないからさ。年寄りの健康法ばっかり書いてあるけど、そういうのは書いてない。だから、そう簡単にはひょっとしたら枯れないのかも知れないなっていう気がしてきたんだよ。

ちぇ:先生の個人的な話ですけどね。普通の人はそんなことないですよ。一気に枯れちゃう人は枯れちゃうし。

よ:だからまあ、幸いにもゴー宣DOJOというものがあって、門下生たちがだいたい40代、50代とか。

ちぇ:社会的にそこそこの地位を確立して、社会の中で実力もつけて。っていう方たちが集まってるから、いろいろできちゃうんですよね。少しだけ時間の余裕ができたりとかね。私も20代30代の頃はできなかったですよ。

よ:そうか。ちょうどそのへんの人たちと重なって、今からバンドみたいなものをやれるようなことになっちゃったから、かえって健康に・・・。健康とかを全然意識してないのに、逆に自然に健康になっちゃうっていうことになってしまって。だから運がいいわけよ。

ちぇ:そうですね。

ケ:それはあの、一般の人間に参考になるんですか?(笑)

ちぇ:どうなんだろう?こういう生き方の人がいるっていうのを知れれば・・・。

よ:わしのそういうのは、まったく一般の人には何の参考にもならないかも知れないんだよね。
ひょっとしたら特殊すぎるかも知れないんだよ、わしは。
(次回に続きます!)

 

 

※1)遅咲きじじい
「ビッグコミック」に2006年から2008年まで連載。全3巻。会社を定年退職し、今こそ人生のスタートラインと意気込む62歳の男・遅咲散太郎(おそざき・ちりたろう)を主人公とするギャグマンガ。台湾でも出版。執筆当時は「完全にじじいになったら、じじい漫画は描けない。気力のあるうちに描く」と発言していた。

※2)笠智衆(りゅう・ちしゅう)
1904-1993 俳優。小津安二郎作品を始め、数多くの映画に出演。『男はつらいよ』シリーズの「御前様」役が有名で、小林よしのりはその枯れ切った味わいをかねてから称賛、老人になったら笠智衆のようになりたいと発言。幻のギャグ作品『私たち普通の日本人』の中では「理想の男」としている。

※3)今東光(こん・とうこう)
1898-1977 小説家、僧侶。テレビなどでも活躍、型破りの発言で「毒舌和尚」と呼ばれ、中でも週刊プレイボーイの人生相談『極道辻説法』が有名。その読者だったのが大学時代の小林よしのりで、こんな若者を叱りつける老人になりたいと思ったといい、『よしりん辻説法』のタイトルなどにその影響が見られる。

※4)ジョージ・ミラー
1945- オーストラリアの映画監督、プロデューサー。『マッドマックス』シリーズが世界的大ヒット。2015年、シリーズ30年ぶりの作品となった『マッドマックス 怒りのデスロード』が当時70歳とは思えないバイオレンス作品の傑作として世界の度肝を抜き、現在79歳の作品『マッドマックス フュリオサ』が公開中。

※5)クリント・イーストウッド
1930- アメリカの俳優、映画監督、プロデューサー。『荒野の用心棒』や『ダーティーハリー』シリーズなど、数多くの作品に出演する一方、監督にも進出。『許されざる者』と『ミリオンダラー・ベイビー』でアカデミー賞監督賞・作品賞を受賞、後者は同賞の最高齢受賞記録(74歳)。90歳を超えても作品を発表。

※6)ミック・ジャガー
1943- イギリスのミュージシャン。ロックバンド、ローリング・ストーンズのボーカルとして1963年デビュー。ローリング・ストーンズは一度も解散せず結成60年を超え、今も世界中にファンを持つ。ミック・ジャガーは73歳にして子をもうけ、81歳となる今年も新たなアルバムとツアーに意欲を燃やしているという。

※7)横浜のライブ
よしりんバンドの「歌謡曲を通して日本を語る」はスタジオからの生放送で行ってきたが、初のライブハウス公演を3月2日、横浜B.B.STREETで行い、大盛況。10月の福岡ライブへとつながることとなった。全編動画はニコニコが停止中でご覧いただけませんが、一部はこちらで!
https://www.youtube.com/watch?v=smSGzXIBrL4&t=622s

 


 

 

年をとったら誰でも「枯淡の境地」に至るわけでもなければ、悟りを開けるわけでもないということは、実際に年をとってみて初めてわかること。
そして、自分が枯れるかどうかということでさえ、実は自分で選べるものではないことのようです。
それではよしりんは枯れるや? それとも枯れざるや?

週1回掲載の予定です。
次回もどうぞお楽しみに!

 

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