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笹幸恵
2024.6.1 02:18皇統問題

「いちゃもんレベルなのに上から目線」の倉山記事

週刊「SPA!」6/4号の倉山記事。
「女性天皇容認90%」という共同通信のアンケート(4/28)に
いちゃもんをつけている。

(アンケート参考▼)
愛子さまサイト_皇位継承に「危機感」72% 女性天皇容認は90%(共同通信)



「失笑」「噴飯」以外の言葉が浮かばない。
イギリスに『THE SUN』という鼻つまみの
タブロイド紙があるが、共同など多くのメディアが
「日本のSUN」と化している。

・・・などと鼻息荒く、小バカにしたように書いているが、
その根拠と思しき記述がどれなのかわからない。
あえて探すなら、
設問に目新しいことはなく、「ふ〜ん」としか
言いようがない
という、ディスっているわりには説得力のない一文か?

で、このアンケートは、たとえるなら、
医者でもない人に手術のやり方を聞くようなもの
なのだという。


こんなアンケートを信じるなら、命の危険がある時に、
医者以外の人たちの多数決だけで自分の治療法を決めればいい。
(中略)
わかってない人だけのアンケートに
何の意味があるのか。

皇位継承に危機感を持つ人は72%。
ちゃんとわかってる人たちじゃないの。
医者以外に治療法を聞くようなもの、などという
たとえは論理の飛躍が甚だしいのだが、
倉山(および編集担当者)は一向に気にならないらしい。
要するに「専門家以外は黙っとけ!」と言いたいのだろう。

さらに具体的に、設問の内容にも言及している。

最も失笑したのが、問15の「天皇陛下は即位から5年となります。
この間の活動について、あなたが評価する活動はどれですか。
二つまでお答えください」だ。ちなみに宮中祭祀を
評価したのは8%。
じゃあ、宮中祭祀やめんの?


・・・誰がそんなこと言ってんの?
何を評価するのか聞いているのであって、
やめるやめないの話など1ミリも出ていない。
にもかかわらず、
「こんな設問は国家元首と総理大臣の
違いをわかっていない」だの、
「そんなに多数欠で決めたいなら
なぜ選挙元首制にしないのか?」だの、
だーーーーれも言ってないことを勝手に想定して反論、
何かを言ったつもりになっている。
倉山の常套手段だ。
こんないちゃもんレベル、「わかってない」のはどっちかね?

また、秋篠宮さまは、立皇嗣の礼において
今上陛下から壺切御剣(つぼきりのみつるぎ)を授けられた、
皇位継承者の証しだ、これが大御心だ!!と
鬼の首を取ったかのように書いているけど、
そりゃ皇嗣だから授けるでしょう、という話。
それ以上でもそれ以下でもない。

前段で、有識者会議の”皇族数確保”プランを支持する政党が多いことに
得意げに触れているが、国会議員が因習と伝統の違いを考えようともせず、
小手先のパッチワーク的対処で問題を先送りし、
民意をくみ取ろうという姿勢すらないのなら、
憲政史研究家としてはそちらを問題視するのが筋だろう。
にもかかわらず倉山は、アンケートに答えた3000人の男女を
さしたる根拠もなく上から目線で愚民扱い、「雑音」と決めつける。
「天皇の地位は国民の総意に基づく」という憲法の条文を無視して
自身の権威主義的こじつけとマウント取りに終始するなら、
憲政史うんぬんなどと名乗らないほうがいい。
名が泣くよ?
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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