昨日アップした記事「15名中14名が『神道政治連盟国会議員懇談会』」では、自民党の「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」メンバー15名のうち14名が、「神社本庁」の政治団体である「神道政治連盟」に賛同する「神道政治連盟国会議員懇談会」に所属しているという事を述べました。
「神社本庁」は、皇位継承における男系男子の固執や、女性宮家設立の反対を強く唱える団体ですが、以前から抱いていた疑問があります。
神社本「庁」という名称ですが、当団体は官公庁(行政機関)ではなく、多くの神社を包括する宗教法人の一つに過ぎません。しかし「庁」の文字が付く事により、少なくない数の人が「行政機関である」と誤認しているのではないでしょうか?
ざっと調べた範囲では、団体名に「庁」を付ける事を規制する法規は見つけられなかったのですが、それでは仮に、例えば私が「AI庁」という名前の法人や任意団体を設立して、私的なビジネスをしても問題はないのでしょうか?(詳しい方、いらっしゃったら教えてください!)
そしてそこで、勝手に「AI庁次世代ジェネレーティブ推進局本部長」みたいなよくわからない肩書を勝手に作って名乗っても、相手がこちらを官僚と誤認したら、例えば「ミニスカポリスを警察官だと思い込んだ」程度の勘違いにしかならないのでしょうか?
これも短時間調べた限りでは、日本国内で「庁」の文字を使っている団体は、官公庁以外では神社本庁のみでした(追記:ほかに、禅宗である曹洞宗の寺院を統括している「曹洞宗宗務庁」などもあるとご教示頂きました)。
なお、海外では宗教的なとりまとめの存在として「ローマ教皇庁」がありますが、これはバチカン市国という独立国家の中に置かれた機関なので、日本の法律に基づいた(しかも、御神体も教義も違う多くの神社を便宜的にとりまとめた「包括的」な)宗教法人の一つでしかない神社本庁とはニュアンスが異なります。
神社本庁は、有名な神社の離脱騒動が度々おこるなど何かと揉め事が聞こえてきます。それを聞くたび「中央集権的な利権団体」のようなスタイルは、暮らしの隅々に八百万の神が宿るゆるやかな宗教観とはあわないなーと、私個人の価値観では思ってしまいます。
その違和感は、「神道政治連盟」というロビー活動団体を作る事にも、さらに(事実上、ほとんど全てが)自民党の議員で構成される「神道政治連盟国会議員懇談会」という議員連盟にもつながって行きます。
「神道政治連盟国会議員懇談会」これ、実はかなり思い切った名前だと私は感じています。
宗教法人である創価学会そのものが母体であると100人中120人が知っている政党だって「創価学会党」じゃなく「公明党」ですし、
議席を得た事は無いですが、幸福の科学が運営している政党も「幸福実現党」
かつてオウムが選挙に出た時だって、オウム党じゃなく「真理党」だったほどに
政治団体名に宗派や教団の名前を入れたら政教分離に一発でひっかかるという感覚から「モロ」な名前を避けていますが、
さすが与党第一党の自民党議員の約7割が参加すると、議員連盟の名前とは言え「神道政治連盟国会議員懇談会」で堂々と入れちゃうんですなー。
神道は日本という国の成り立ちと連なりに重要な意味を持つので、十把一絡げの政教分離はあてはまらないといったような声も出てくるかもしれない。
でもそれならば、神話から連なる物語と国民統合の象徴である天皇、皇族そして皇位継承について、無関心、雑、都合の良いコマ扱いとしか言えないような酷い内容を適当に決めていく会合を片手間でやっているその姿勢、いったい何なんだろう。
「名前」にまつわる問題一つとっても、実に些末な私的利害の蠢きと、その裏返しとしての「公への無関心」が政界に蔓延しているとしか感じられません。
もう、ほのかな期待や祈りを抱く事はやめました。
これから先、そうした打算が蔓延する沼地へのニヒリズムを飛び越えて、庶民の圧倒的な情念で動かしていく方向を、今まで以上に徹底して考えて行こうと思います。