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大須賀淳
2024.2.18 19:20メディア

運転と実存

先日、ある田舎町の駅前で、70代女性が車のブレーキとアクセルを踏み間違えて暴走し、偶然居合わせた、自動車教習所の送迎バスから降りた19歳男性がはねられて亡くなるという事故がありました。

 

実は、この町は私の出身地。事故現場からさほど離れていない所に1人で住む76歳の父親も車を運転していますし、ちょうど私の長女が、いま教習所に通っているというタイミングもあり、色々と考えてしまいます。

 

現場の駅前は「ロータリー」と報道されていますが、実際の現場を知っていると細かい区分けもない「適当な広い空間」みたいな所で、大抵の時間帯は閑散としています。

 

普段であればせいぜい自損事故で済む所が、よりによって人がいて、若者に突っ込んでしまうとは、本当に不運だったなと思わずにはいられません。

 

駅から延びる道の1本は「商店街」なのですが、私が町を離れた30年前からもほとんど建物は変わっておらず、いま実際に営業している店舗はごく僅か。一方、30年前は田畑と山林だったような町はずれの場所に、現在は大きなイオンが建っており、必然的に購買活動の中心地はそちらになっています。

 

いわゆる(日本中に無数に存在する)「車がなければ生活できない」土地ですね。

 

こうした事故が起こると「高齢者の免許適格の厳密化」「地方の生活のあり方」「車の自動運転化」などの議論が巻き起こり、私もほとんどの場合、大勢の意見に「まあ、そうだよなあ」という感想を抱くことが多いです。

 

さて、ここで一度、アングルを「私」に転換します。

 

首都圏の郊外に住む私も日常的に車を運転しており、大量の機材が必要な「歌謡曲を通して日本を語る」の時も、車で現場に行っています(チェブリンは、食事の時に呑兵衛の私がお酒を飲めない事を申し訳ないと言ってくれるけど、仕事モードの時は全然OKです!)。

 

実は私、音楽や映像の機材類と180度違って車にはほとんど拘りがなく、なんなら運転も「別に好きではない」んですよ。むしろ早く完全自動運転になって、現場終わったらビール飲んで映画でも観てるうちに家まで運んでほしいなあと思うぐらい。

 

「車」に関して、その程度の思い入れしかない私ですが

 

それでも、僻地での撮影現場などに行った際などは「自分で運転してこんな所まで来た」という事に、そこはかとない「実存」を感じるんです。

 

運転って「意思と判断の連続」なので、どれだけ面倒でも、現地についた時の達成感がひときわ大きいんですよね。

 

これはちょっと(ゆるい)内緒話。20年近く前、新婚旅行でサイパンに行きました。妻がリゾートホテルのエステに行っている時間帯、暇だった私は原付きをレンタルして島内を無計画に走るという遊びをしていたのですが…

 

そこで「米兵のトラックにメッチャ煽られる」「山林沿いの意味不明な場所に1件だけ建っているボロ商店でコーラを飲む」「日本のクセで左車線に入ってしまい死にかける」などの体験をして…これ家庭内的には秘密ですが、新婚旅行の思い出の8割ぐらい、原付きでのソロ行動になっています(笑)

 

別にたいして運転好きではない自分であっても、運転って恐ろしいまでに「実存的行為」なのですよね。

 

「高齢者に運転させるな!」は、合理の面では合点がいくのですが、その一方で「自分から運転が〝取り上げられ〟たら、ガクッと意気消沈するかもなあ」というジレンマがあります。

 

こうした齟齬の最適解を探るとすれば「運転者に自分の衰えを悟られる事なく、危険な状況に遭った時にAIが適格な危険回避をしてくれる」といったものかなあと思います。

 

こうした仕組みは、人間とテクノロジーの共生という面で、より幸福な未来をもたらしてくれそうですね。

 


さて、さて、あ、さてさてさてさて…(合コン?(笑))

 

上記の、線より上の部分はある程度「清潔なメディア」でも掲載される範疇かと思います。

 

ここからは仮定の話

 

将来の私が、先述のような「忖度AI搭載」の車を買ったとしたら、日常においてはその利便性を最大限に享受しつつ…

 

一方で(使うか使わないかは別として)、爆薬を満載した状態で「何か」に突っ込んでも、安全装置が機能せずに「遂げられる」方法を、少なくとも「知識レベル」では知ろうとすると思います。

 

わかんないけどね。寸前で怖くなって、思いっきりブレーキを踏むかもしれないけど…

 

オッチョコチョイな自分のことだから、その時はじめて「ブレーキとアクセルの踏み間違え」やっちゃうかもしれないな…。

 

経緯の真相は永遠に謎でしょうが、その時はぜひ皆さん「忖度」してくださいね(笑)。

大須賀淳

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