昨日は、ジャニーズ性加害問題当事者の会・副代表、石丸志門氏が、ジャニーズJr.時代の事をネタにトークするYouTubeチャンネルを紹介しました。
「ジャニあっく!チャンネルプラス」はチャンネル登録数・再生数ともに少なく、収益化できていない状態です。もっとも、YouTubeであれば、収益化と関係なくプロモーション目的や、趣味的にやっていたという理屈も成り立つのですが、
氏は他に、元ジャニーズJr.の肩書きを使ったビジネス活動として、個人のクリエイター等が仕事依頼を受注できるサービス「coconala」にもアカウントを設けています。
最初に申し上げると、私は元ジャニーズJr.の肩書きをビジネスに使う事自体は、全く悪いと思いません。出生時より国民だった者が旧皇族を名乗るのと違い(笑)事実ですし、私も長くフリーランスで生計を立てていますので、「使えるものは何でも使う」姿勢はむしろ肯定的に思うぐらいです。
ただ、氏のページを見ると、これまでの販売(受注)実績が「2」と、全く仕事として成立していません。
それも頷ける所で、プロフィールではことさらに元ジャニーズJr.であることを強調し、
掲示しているサービスの名前も「ジャニーズ」を強調していますが、
また、もっと本質的(かつ致命的)な問題も。こちらのLP(=ランディングページ。Webサイトの訪問者へ最初に表示されるページで、購入や成約などの率を大きく左右する)制作サービスの詳細を見ると、
表示された時点で読むのを止めてしまう人も多いと思われる、改行のない読みにくい長文…。LPは、情報を整理して読みやすくし、来訪者がそのまま購入などの行動に移ってくれるよう導くためのものですが、その真逆の事をやっています。
この種のサービスでは、受注につなげるために多くのクリエイターがしのぎを削っており、サービス説明もより解りやすく日々改良するぐらいで「普通」ですが、そうした努力を行ったような痕跡もあまり見られません。
おそらく「元ジャニーズJr.」の肩書きがあれば受注できると思っていたあてが外れ、そのまま放置してしまったという感じではないでしょうか。
そして、私が「この人はフリーランスに向いてないな」と一番感じたのが、プロフィール文の一節。
>50歳になったのを機にスーツを着る仕事(サラリーマン)に見切りをつけ、WEBデザイン、動画編集を学び、これまでの全ての能力を使えるように独立開業を目指して頑張っています。
これを表示しているページは言わば「店頭」なので、「独立開業を目指して」じゃなく、もう既に開業して商売している状態です。「美味しく作れるよう頑張って練習中です!」と張り紙してある飲食店に誰も入らないように(笑)、この姿勢だと受注できないよなあ…と思わざるを得ません。
こうした、受動的な姿勢と「看板」への依存が強い人(きつく言えば「甘え」が強い人)は、自営業者に向いていないと同時に、アイドルの世界で勝ち上がって行くのも難しいでしょう。
YouTubeチャンネルや仕事の受注といった部分で、自分が最も誇っている過去の肩書きが全く通用しない(ただし、それが活きるような努力も十分には見えない)屈辱からルサンチマンを抱えてしまった可能性は、十分にあると思います。
そこに、誰も異論を口にする事さえ許されない「被害者」という絶対的な立場を手にでき、大金と同時に、社会からの承認をも得られる「チャンス」が訪れたら…?
氏の「挫折の痕跡」からは、今回のジャニーズ問題に感じる違和感の一旦が、非常にリアルな形で見てとれると感じます。