8/18の記事タイトルで使った「刮目」という言葉も、これが出るのを知らずに東大快進撃のラストシーンから引用したぐらい好きな作品なので、嬉しい限りです!
うぉっ!闇落ちした現役勝!!
彼は、主人公・東大通のライバル的なキャラで、先日の「あゆむコレクション Vol.1」で紹介されていたよしりん先生のデビュー作「ああ勉強一直線」でも、1コマ目から登場しています。
初登場時のギャグ・テイストからは想像もつきませんが、東大快進撃の最終回において、現役勝はあまりにも哀しい最期を迎えます。
東大通や、アホの双璧・多分田吾作は、よしりん作品のスター・システムの中で、今年発売された「よしりん御伽草子」にも登場するなど、半世紀近くに渡って「生き続けて」いますが
現役勝は(自分が知っている限り)その後の作品に登場することもなく、最終回の描かれた1981年に18歳で永久の眠りについた、と言えるでしょう。
現役勝というのは、あらゆる面で「示唆的」なキャラです。
ステレオタイプの(教育ママの元で育った)「秀才」で、高いプライドでアホの東大通を見下しつつも、過剰な情念と生命力で物事を突破してしまう様にはいびつな嫉妬心も抱いている。そして、一度の受験失敗という挫折で自ら命を断ってしまった。
この「芯の弱い秀才タイプ」。もう少し細かく分析すると
「制度や権威に従順な一方、個として立つ足場や脚力が弱く、実は抱えている(「こんな優秀な自分なのに、社会は十分に認めてくれない」といった)根深いルサンチマンが表出すると、公を毀損する行動に出てしまいやすい」
実際に高学歴や成績優良であるかとはまた別に、こうした特徴があると思います。
これ、考えてみると、ゴー宣シリーズが対峙してきた存在(オウム信者、薬害エイズの厚生省官僚、サヨク・ネトウヨ、コロナ脳、男系カルト、ポリコレ真理教、その他諸々)にかなりの割合で共通する要素でもあります。
「IF」の展開として、現役勝が東大に合格した後に社会人になった際、その脆弱な個と生命力を守る術として、こうした存在になっていた可能性は、かなり大きいのではと感じてしまいます。
一方、まだ18歳だった彼が挫折を乗り越えれば、世界の不条理や人間の暗部も受け入れつつ、当人・社会の双方にとって幸福な形で人生を送れたかもしれません。
どちらにせよ、彼はその身を自ら滅する事で、あらゆる「呪い」を我々につきつけた。
現役の墓前に花を供えつつ、我々は前に進んで行きましょう。