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高森明勅
2023.8.5 06:00皇統問題

「行啓」と「お成り」宮内庁は皇太子と傍系の皇嗣を厳格に区別

先のブログで、皇室典範が“直系”の皇太子と“傍系”の
皇嗣を明確に区別していることを、再確認した
(同ブログでは皇室典範の第11条第2項だけを取り上げたが、
第19条でも両者の違いが示されている)。

「立皇嗣の礼」を挙行しても、「その時点では皇位継承順位第1位」
(=不確定的なお立場)に過ぎない傍系の皇嗣が
「次の天皇であることが確定している皇太子」と
“同じお立場”に移られる訳ではない、と。

当然ながら、この違いを誰よりも理解しているのは宮内庁だ。

皇太子が外出される場合は「行啓(ぎょうけい)」という表現を使う。
この語は、他には皇后・皇太后・皇太子妃などに用いられる。

ところが、秋篠宮殿下や同妃紀子殿下の場合には、
この言葉は使われていない。もっぱら「お成(な)り」だ。
この語は一般の皇族に広く使われる。

皇太子と傍系の皇嗣の“違い”については、
歴代の内閣官房長官の中でも優れた手腕を評価され、
長くその地位におられた菅義偉氏でさえ、
国会で質問を受けた時に一瞬、呆然として席を立てなかった
一幕があった(質問者は菅野志桜里氏。当時は山尾姓)。

両者の違いは、もっと多くの人々に知られるべきだろう。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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