テレビなどで、そのまま放送できない発言が出た箇所に「ピーッ」という音声(最近はバリエーションも増えていますが)を被せて声を消す手法は、今や完全に定着しています。
あのピー音の正体ですが、最初に使われたのは放送機器のチェックを行うための「テストトーン」という音声信号です。30代以上の方であれば、昔はテレビ放送の終了時に下のような画面(カラーバー)と「ピー」という音が出ていたのを覚えていると思いますが、あの音がそれです。
元々は、そのまま放送できない発言の処理に困ったスタッフが、手近にあったテストトーンを使って発言を消したという俗説があります。苦肉の策で行ったのでしょうが、単に無音にするよりちょっとただ事ではない雰囲気がでて、怪我の功名ながら効果的な演出方法となりました。
さて、この「テストトーン」ですが、正式には「サイン波」(正弦波)と呼ばれる音声信号です。2023年5月10日の私の記事「「耳で観る」ゴー宣ファンアート」でご紹介した波形とスペクトログラムとして表示すると、波形はきれいなサインカーブ、スペクトログラムは完全な横一直線になります。
実はこのサイン波、音の特徴を決める「倍音」などを全く含まない、「最も純粋な音」なんです。有名な数学者・物理学者であるジョゼフ・フーリエの説では、サイン波を複雑に組み合わせれば理論上「どんな音でも」再現することができ、実際にその理論はあらゆる音響機器などで使われています。
さて、この世界で一番「純粋な音」であるサイン波。それを使って、テレビで流せない「不純な言葉」を隠す…単に手軽にできるからと生まれた手法ですが、結果的に「呪術による浄化」みたいな意味が生まれてしまったのは、なんとも愉快な偶然のいたずらですね。
ちなみに、テレビで見えちゃいけないものは「モザイク」処理で隠すのも定番ですが
モザイク画は、西洋や中近東で宗教建築中の装飾として進化した歴史があります。まさにこれも、不純なるものを聖なる手法で浄化する呪術的な意味合いが…ぜったい無いと思いますが、アホ論文にまとめてみたくなっちゃいます(笑)
こうしたヨタ話のネタは大好きで、自分で考えたもの、聞いたものとりまぜていっぱいストックがあるんですが、時々これらと同レベルの話が「陰謀論」として大真面目に流布していてクラクラする事があります(^^;)。
Y染色体がどうたらの話も、忘年会でヨタ話として披露して笑いをとるぐらいにしておけば良かったのになあ…(笑)。