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高森明勅
2023.4.5 08:00皇統問題

皇位継承を安定化させ、皇室の「聖域」性を保つルールとは?

皇位継承を安定化させ、皇室の「聖域」性を保つルールとは?

予断と偏見を排して、皇位継承のルールはいかにあるべきか?

普通に考えると、次の2つの条件を兼ね備えたルールが求められるだろう。

①皇位の継承をより安定化し得る(→憲法第2条の要請に応える条件)。
②皇室の「聖域」性が守られ、国民の敬愛と信頼の気持ちを大切にする
(→憲法第1条の要請に応える条件)。

端的に言って、②の条件をクリアできなければ①だけをクリアするのは
至難だろう。

また一方、②だけがクリアできても①をクリアできなければ、
全ては無に帰する。

よって、①②は不可分一体の条件と言える。
これまで提案されている方策は2つ。

その〔1〕は、いわゆる旧宮家プラン(養子縁組、法的措置のみを含む)。
その〔2〕は、女性天皇・女系天皇を認めるプラン。

これらについて、①②が当てはまるかどうか検討しよう。
まず、〔1〕はどうか。
仮にその方策が最も理想的な形で運用されたとしても、
残念ながら一夫一婦制のもとでは、
皇位継承資格の「男系男子」限定を続ける限り、
やがて行き詰まることは避けられない。

つまり①の条件を満たさない。

さらに旧宮家プランでは、75年以上も前に皇族の身分を離れた方たちの子孫
(生まれた時から国民)が“婚姻を介さないで”皇籍を取得することになるので、
②の条件にも引っ掛かる。

では〔2〕はどうか。
改めて言うまでもなく、明治以来の男系男子にしか継承資格を認めない
ルールに対して、
男性・女性、男系・女系すべてに継承資格を認める方が、
皇位の継承は格段に安定化する
(①をクリア)。

しかも、一般国民が婚姻を介さないで皇籍を取得するような、「聖域」性を
損なう手段を
厳しく排除でき、“天皇直系”による継承可能性(現在ならば
天皇陛下から敬宮〔愛子内親王〕
殿下へ)が高まるので、国民の敬愛と
信頼の気持ちも保たれやすい(②をクリア)。

以上によって、①②の条件を前提とする限り、(〔1〕について
憲法違反という致命的な
難点をあえて保留しても)〔2〕の方策を採用
すべきことが結論付けられる。

逆に、皇位継承を行き詰まらせ、皇室の聖域性を損なって、国民の敬愛と
信頼が
傷付くことを積極的に望むならば、〔1〕の旧宮家プランが最適(?)
ということになる
(しかし結局、憲法違反なので一発アウト)。

追記

プレジデントオンラインの「高森明勅の皇室ウォッチ」は4月6日、
午後1時公開予定。
今回は、このところ相次ぐ、敬宮殿下「お相手(?)」
報道の“うさん臭さ”
について、掘り下げた。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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