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高森明勅
2023.1.13 08:00皇統問題

元最高裁判事・園部逸夫氏「女性天皇を認めよ」と懸命な訴え

元最高裁判事で「皇室典範に関する有識者会議」
座長代理だった園部逸夫氏。

昭和4年(1929年)のお生まれで、
『皇室法概論』『皇室法入門』などのご著書があり、
紛れもなく皇室法の第一人者だ。

私自身、上記有識者会議のヒアリングに応じた際、
園部氏から適切な質問を受けたことを覚えている。
又、その後、国会議員の大がかりな勉強会の控え室でご一緒し、
しばし懇談の時間を戴いたのも貴重な経験だった。

その園部氏が「女性天皇を認めよ」と懸命な訴えをされている
(『文藝春秋』2月号)。
一部を引用させて戴く。

「皇統を安定的に継承・維持するためには、
女性天皇を認めるしかない。
これが私の結論です。
実現させるか、棚上げを続けるか。
あとは政治の決断1つです。
…戦前は(成年以上の男性皇族によって構成されていた)
皇族会議で検討されていた皇室問題の議論が、
国会と国民、主に内閣の責任の範囲となった。
皇族に議論や判断の権限がない以上、
国会で責任を持って議論し判断するよりほかありませんが、
これまでの歴代内閣は、残念ながらこの責任を放棄してきました。

…女性天皇に反対する一部の保守派は、
『女性』という言葉を出しただけで激しく反発し、
議論の継続自体を阻止しようとするのです。
このような状況ではリスクを恐れ、問題は棚上げされるばかりです。
その間にも皇統は刻一刻と衰退への道を歩むことになります。

天皇制が国民の象徴であるのなら、女性天皇を心から敬い、
支え続けていける社会であってほしいと、切に願います」

皇室の将来を憂う、こうした切実な声は
「政治(内閣・国会)」の現場に届かないのか。
「実現させるか、棚上げを続けるか。
あとは政治の決断1つ」なら、「政治」に対して
「棚上げ」を許さず、「実現」を促す行動を
積み重ねることが、国民の責務だ。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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