はい。確かに泉美さんのコートを着て帰ろうとした
ことを認めます。
若干の違和感があったのです。
どうも腕の中が窮屈な気はしたのです。
でも黒いんです。コートの色が。
わしのコートと色が同じな気がします。
脚力は丸一日座りっぱなしが続いているのだから、
まだ言い訳が通用するけど、女のコートを着て帰ろうと
した事実は、消すことができません。
老いを認めざるを得ない日がついにやって来たので
しょうか?
最近は映画を見た後で、カバンを忘れて出てきたり、
宴会の後、人の靴を履いたり、どうも若者ならやらない
ヘマをたて続けにやっている。
けれど、老化以外の理由が一つあります。
最近は視力が甚だしく落ちて、手元の原稿は見えるの
ですが、足元がよく見えていないのです。
紅白歌合戦の加山雄三の場合と同じです。
足元があれだけスモークで埋まっていたら、数歩移動
するだけでも怖いのは当たり前です。
わしの足下はあんな感じ、スモークを焚いているのと
同じ感じなんです。
ひょっとすると、新しいメガネに買い替えれば、
一気に解決する問題かもしれません。
以前から、メガネを買い替えねばと思っていたのに、
時間が取れなかった。
これはきっとメガネのせいです。
メガネさえ替えれば、足取りも軽くなって、忘れ物も
しなくなって、女のコートを着て帰ろうなんて絶対
しなくなるのではないかな?
見えてないからこういう失敗をやらかす。
しかも泉美さんが発見者だから、このしくじりが
天下に露見してしまう。運が悪かった。
これは全て老化ではない。
泉美さんが黒いコートを着ていたからであり、
メガネの度が甚だしく合っていないせいです。
な~~~~んだ、メガネか~~~~~。