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高森明勅
2022.11.16 08:00皇統問題

皇室のご安泰を図るには最悪の事態も想定した法整備が不可欠

危機管理の要諦は、予め最悪の事態も織り込んで
(悲観的に)備え、事に臨んでは最善を目指して
(楽観的に)対処することである、と言われる。
畏れ多いが、皇室のご安泰を願うならば、
同様の心構えが求められる。

不敬に聞こえるかも知れないが、以下に述べるような事実も、
比較的近い過去に間違いなくあった。
従って、そうした事態も織り込んで、
早め早めに十分な用意が欠かせないはずだ。

◎親より子が先に亡くなられた事例。
三笠宮家におかれては、ご両親よりも
お3方のお子様方が先に亡くなられた。

〇父宮=崇仁(たかひと)親王。
大正4年のお生まれで、亡くなられたのは平成28年。
〇母宮=百合子妃殿下。大正12年のお生まれで、
現在は三笠宮家のご当主。
△ご長男=寛仁(ともひと)親王。
昭和21年のお生まれで、亡くなられたのは平成24年。
△ご次男=宜仁(よしひと)親王。
昭和23年のお生まれで、亡くなられたのは平成26年。
△ご三男=憲仁(のりひと)親王。
昭和29年のお生まれで、亡くなられたのは平成14年。

◎兄より弟が先に亡くなられた事例。
昭和天皇にはお3方の弟宮がおられたが、
そのうちのお2方は先に亡くなられた。
〇昭和天皇は明治34年のお生まれで、亡くなられたのは昭和64年。
△弟宮の秩父宮雍仁(やすひと)親王は明治35年のお生まれで、
亡くなられたのは昭和28年。
△同じく弟宮の高松宮宣仁(のぶひと)親王は
明治38年のお生まれで、亡くなられたのは昭和62年。

現実においては、こうしたことがしばしば起こり得ることを、
くれぐれも忘れてはならない。
天皇陛下の次の世代に現状、たったお一方だけ
皇位継承資格者がおられることを根拠に、
皇室の将来について楽観的に、
“一先ず今後数十年は大丈夫”などと高を括るのは、
危機管理の対極にある考え方だ。

追記

今月のプレジデントオンライン
「高森明勅の皇室ウォッチ」は16日午後3時公開。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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