政府が国会に検討を委ねた皇族数の確保策を巡る
有識者会議報告書に以下のようにある。「(今上陛下→秋篠宮殿下→悠仁親王殿下という)
皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない」(6ページ)と。しかし、秋篠宮殿下のご即位は現実的には想定しにくい
(プレジデントオンライン10月28日公開拙稿など参照)。
更に悠仁親王殿下についても、今の制度のままだと皇室は将来、
殿下お1人だけになり、しかもご結婚相手の女性は
必ず1人以上の男子を生まないと皇室そのものが滅びる
という厳しい重圧から逃れられない。
その事実が予め分かり切っている以上、
ご結婚自体が至難にならざるを得ない。畏れ多いが、今の制度のもとで悠仁殿下が
ご結婚できなかった場合、皇室は全く行き詰まる。だから皇室の存続を願うなら、悠仁殿下の
ご結婚のハードルを少しでも下げることが欠かせない。
その為には、内親王・女王方がご結婚後も皇族の身分に
とどまる制度に改める必要がある。公平に言って、そのことにより内親王・女王方の
ご結婚のハードルが一定程度、高くなる可能性も予想される。
しかし甚だ申し訳ないが、上記の事情によりやむを得ない。
その場合、2つの必須条件がある。①内親王・女王方にも皇位継承資格を認めること。
②内親王・女王方のご結婚相手やお子様は皇族の身分を取得されること。
もし①がクリアされなければ、そもそも制度改正の
合理的根拠を持ち得ない(皇位継承資格を持つ→ご結婚後も
皇籍保持/皇位継承資格なし→ご結婚後は皇籍離脱…
という対応関係。11月7日公開ブログ参照)。更に②がクリアされなければ、天皇の「日本国の象徴」
「日本国民統合の象徴」としてのお立場と皇室の
「聖域」性が、根底から覆されかねない
(配偶者やお子様が国民なら、憲法第3章が保障する
自由・権利は、全て最大限に尊重されることになる。
11月3日・10日公開ブログなど参照)。これらのうち①の制度改正を行うには、
皇室典範第1条の少なくとも「男子」限定を
解除しなければならない(②については「男系」限定の
解除も必要だろう)。そうすると、これまでの直系主義そのものを見直さない限り、
皇室典範第2条の適用によって「皇長子」
(天皇の最初に生まれたお子様)が
皇位継承順位の第1位(皇嗣たる皇子=皇太子)となられる。これを現在の皇室に当てはめると、
どなたが該当されるかは改めて申し上げるまでもない。
皇室の存続を図り、悠仁殿下が苛酷なご生涯を辿られない為に
”最低限”求められる制度改正を行うと、必然的に敬宮殿下が
「皇太子」になられるという帰結に行き着く。現在の「皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない」などと、
いつまでも無為無策のまま問題解決を“先延ばし”することは、
皇室への謙虚さや敬意を示すものではなく、
悠仁殿下のご結婚を妨害し、皇室の存続それ自体を
不可能にしようと狙っているのに限りなく近い。【高森明勅公式サイト】
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