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小林よしのり
2022.9.8 10:04日々の出来事

インドの『おぼっちゃまくん』プロジェクト

昨日はテレ朝でインドのSONYグループ幹部と打ち合わせ。
テレ朝局内ではすれ違う人間が全員マスクしていて、
さすが玉川徹の職場だな、狂気の全体主義だなと思っていた。
わしはノーマスクで打ち合わせの部屋に入り、待っていると、
あとで入って来たインド人がマスクしている。
「インドではマスクしてるのか?」と聞くと、してないと
言うので、「外していいよ」と言ったら、安堵した表情で
ただちに外した。
日本人の「世間体」「同調圧力」でやめられなくなっている
悪しき因習を、外国人にまで押し付けるのは失礼だ。
テレ朝の社員にも、マスク外させた。
マスクしてるとみんなの顔が覚えられない。


ロノジョイさん、リナさん

「おぼっちゃまくん」のアニメをインドで制作する話は
面白いのだが、問題は脚本だ。
脚本は日本に丸投げらしい。
シンエイ動画からやすみ哲夫氏を始め、数名スタッフが
本づくりに名乗りを上げてくれてるようで、意欲的だ。

だが、インドでは日本のように週1本のペースじゃなく、
夏休みなどの子供が休日の期間に、集中して27本、
一気に放送するらしい。とんでもない番組事情だ。
27本、一気に脚本が書けるのか?
原作のままのクオリティがいいというから、わしが関わる
しかなくなる雰囲気だ。

本気でやるのなら、定期的に脚本会議をやって、5本づつ
くらいテーマを考え、ストーリーを決めて、一斉に脚本を
書いてもらうとか、するしかないのではないか?
一番難しいのはギャグなのだが、よほど凄い脚本家でなけ
ればギャグまで考えられないだろう。

恐ろしい。ものすごく無謀な挑戦ではないか?
シンエイ動画の脚本家がやる気があるというなら、やれる
のかもしれない。
手掛かりは脚本家の「やる気」だけだ。

インドでは絵が完成してない段階で、先に声を入れると
いうのも驚いたが、だからとにかく本が欲しいと言う。
わしがほとんど関わらないで、制作が進むのならいいの
だが、インドの子供たちに、前の方が面白かったと言われ
たらおしまいだ。
だが、本気で関わったら、今のわしの仕事に多大な影響が
出てしまう。

一体これからどうなるのだろうか?
もし成功したら、インドの作画グループを使って、
さらに巨大なプロジェクトを企てることも可能だろう。
だが、わしの今の作家性と合ってるか否か?
どこまで関わるべきか?難しい局面である。

 

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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