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笹幸恵
2022.8.9 12:09日々の出来事

ガダルカナルの80年慰霊式典

一昨日、8月7日はガダルカナルに米軍が上陸した日。
半年の攻防ののち、日本軍は撤退。
陸戦のターニングポイントとなった。
あれから80年が経過した。

今年は80年ということで、大規模な慰霊巡拝を
所属する戦友会で何年も前から企画していた。
しかしコロナだのワクチンだの燃料高騰だの問題山積で延期。
一方、慰霊式典に合わせて、護衛艦「きりさめ」が
首都ホニアラに入港した。
日米合同の慰霊祭では、「きりさめ」の乗員も数名が参列。
あああ、行きたかったなあ・・・。

と思っていたら、事件が起きた。
米側の慰霊式典の最中、自衛官のひとりが現地人に刺されたという。
続報が入る。
凶器はハサミ、自衛官は軽傷で命に別状なし、
犯人はその場で取り押さえられ、精神的に不安定・・・。
ともかく軽傷で済んで良かった。

これに関するネットニュースを読んでいたら、
例のごとくヤフコメはひどいね。
戦争の加害国だから・・・とか、
背後に中国が絡んでいる・・・とか。
「精神が不安定!? 騙されるな!」と言わんばかり。

南方に行くとよーーーくわかるけど、
戦争の加害・被害をイデオロギー化して生きている人は
ほとんどいない(というか今まで会ったことがない)。
そして一般的に、軍人は尊敬の対象である。
過去へのわだかまりがないわけではないけど、
彼らはもっと未来志向だ。
すぐに戦争に結びつけるのはあまりに短絡的だ。

背後に中国?
もう何でもかんでも陰謀論だな。
確かにソロモン諸島は中国との関係を強化し、
日本もアメリカもそれを危惧して
要人がせっせとソロモン通いをしている(遅すぎるくらいだ)。
かといって米側主催の慰霊式典で日本の自衛官に
ハサミで襲いかかるって、どういう陰謀なんだ?
ヒマでノー天気な「ごっこ」にすぎない。


笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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