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高森明勅
2022.7.18 08:00皇室

平均寿命、1人当たりのGDP、体制自由度で見る「君主国」

世界の国々を大別すれば「君主国」と「共和国」
に分けることができる。
しかし、共和国は民主的・現代的で、君主国は
独裁的・旧時代的というイメージを、漠然と抱いている人が
いるのではないか。

もちろん、そのようなイメージに合致する国々もあるだろう。
だが各国の実態を見ると、一概に思い込みだけで語ることは
できないことが分かる。
むしろ具体的なデータで見ると、伝統ある立憲君主国の場合、
その国民は世界の中でも“より”幸せを享受している部類に
入ると言えるのではないか。

ここでは、客観的な3つの指標を取り上げる。

①平均寿命、②国民1人当たりの名目GDP、③体制自由度だ。

①平均寿命については、80歳以上の国々が183ヵ国を対象とした調査
(WHOの報告書による)で31ヵ国ある。

②1人当たりの名目GDPについては、3万ドル以上の国々が193ヵ国
(+地域)を対象にした調査(IMFの統計による)で、35ヵ国(+地域)ある。

③体制自由度については、90点以上(「政治的権利」
40点満点+「市民自由度」60点満点)の国々が198ヵ国(+地域)を
対象とした調査(Freedom Houseの報告書による)で、43ヵ国ある。

これら①②③すべてに当てはまる国々は、シンプルに考えて、
少なくともこれら以外の国々との比較において、一先ず
現代の世界でより“幸せ”な国々と言えるのではないだろうか。
数えてみると19ヵ国ある(この中には、例えばアメリカは入らない。
平均寿命が80歳に達していないからだ)。

これらの中、君主国は以下の通り。
日本、イギリス、オランダ、スペイン、ベルギー、スウェーデン、
デンマーク、ノルウェー、ルクセンブルク、
以上、9ヵ国。それぞれ伝統ある立憲君主国と言える。

これに英連邦王国(イギリスの君主を自国の君主・元首として戴く
独立国、イギリスを含めて15ヵ国)の一部の国々を加えてもよいだろう。
具体的には、ニュージーランド、カナダ、オーストラリアの3ヵ国。

以上を合計すると、19ヵ国中、12ヵ国は君主国という結果になる。

世界の200弱の国々の中で、君主国はおよそ28ヵ国
(英連邦王国を加えると42ヵ国)しかない。
その事実を勘案すると、君主国が①②③すべてに当てはまる比率は、
共和国に比べて遥かに高い。

こうした実情を見ると、伝統ある立憲君主国の場合、
未熟で野蛮な共和国に比べて、国民の幸せに貢献する
度合いが格段に高い、と見ることができるのではあるまいか。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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