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笹幸恵
2022.6.4 08:01ゴー宣道場

『正論』7月号 葛城奈海氏の矛盾点

『正論』7月号に、ジャーナリストの葛城奈海氏が
「正統な皇統の死守を」と題して寄稿している。

彼女は令和元年に
「皇統(父系男系)を守る国民連合の会」を
設立している。
この会は、「皇室典範に女性・女系天皇を
容認するような加筆修正を許さないこと」が
主たる活動だという。

記事では、有識者会議が安定的な皇位継承について
議論した報告書について触れているほか、
自身の皇室観、男系でつながってきた皇統は
世界史の奇蹟だと述べている。

一読して、大きな矛盾が二つある。
ひとつは、天皇が「無私」であることに感銘を受けて
尊皇心が芽生えたと言っているのに、
女系天皇はダメだとしている点。
なんだ、結局あなたが重視しているのは
「無私であるかどうか」ではなく
「血」じゃないの。

もうひとつは、「人権」を都合よく使っている点。
女性天皇と女系天皇の違いについて述べ、
愛子天皇が実現したならば「男系女性」だからいいが、
これまで女性は中継ぎとしての即位であり、
どの女性天皇も未亡人もしくは生涯独身だった。
したがって、即位された愛子さまに
「結婚や出産を控えるように」などと
道義的にも人権的にも言えない、としながら、
男系の血統でつなぐためには
「旧11宮家の生まれたての男子を
現宮家の養子として迎え」ればいいと言っているのだ。
生まれたての男子に人権はないのか?
勝手に親から引き離すことは道義的に問題ではないのか?

つっこみどころが満載の記事である。
そもそも古代、日本は双系社会だった。
男系継承の父系原理は中国から入ってきたものだ。
男の血だから良い、女の血だからダメだなんて発想、
日本にはなかった。どれだけ中国に影響されてんの。
歴代の女性天皇が独り身だったのも、
もはや「長老」とよばれる年代だったから。
だいたい「父系の血をたどれば神武天皇に行き着く」なんて、
現代の男尊女卑的発想からのこじつけに過ぎない。

いい加減、目を覚ませ。
女である葛城さんの血は、卑しいのか?
ただ女である、というだけで?
そもそも血統のみで誰かを敬い、
その血統を守るために他人の人生を左右しようという
発想自体がグロテスクだとは思わないのか?
男系にこだわるあまり、皇統が途絶える危機に
なぜ気づかない?
旧宮家に皇室入りをする覚悟を持っている方がいると
「仄聞している」だけでは意味がない。
単なる希望的観測だったらどうするの?
無責任極まりない。
無知と、思考の浅さを知りなさい。

7月10日の北海道ゴー宣道場では、
まさしく「女性天皇・女系天皇」がテーマ。
女性と女系の区別がつかないという人も大歓迎!
日本古来の「伝統」とは何か、
はっきりさせようじゃないの!!!

応募〆切はもう目の前、
6/7(火)です!!

 

【第106回 ゴー宣道場in北海道】
■テーマ:『女性天皇と女系天皇は違う?(はてな)』
     ~愛子天皇、ウクライナ、コロナ終焉~
■日時:2022年7月10日(日)14:00~
■場所:北海道札幌市
※当選した方にお送りするメールに会場を明記します。
■参加費:2,000円(小学生以下は無料)
お申し込みはコチラから↓
https://www.gosen-dojo.com/schedule/
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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