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トッキー
2022.5.30 13:33ゴー宣道場

悪い意味で予想通りだった、十番勝負の感想。

公論サポーター・
神戸の弁護士、ゴーさんから届いた
「よしりん十番勝負」の感想です。

長文ですが、そのまま掲載します。
これが結論かもしれない。

私が書くべきコメントは、もうありません。

 


 

遅くなりましたが、十番勝負の感想を述べさせていただきます。
長文となってしまい、大変恐縮です。
ときどき言葉遣いも悪くなりますが、何卒お許しください。

悪い意味で予想通りでした。
小林先生がどんな立論をするか、どんな切り口で話すのか、等々についてワクワクしながら見ていましたが、ゲストお二人の話や議論への姿勢については、とても残念に感じました。

藤井氏は、どうせ前提を置いて、そこから仮定的に場合分けするような立論だろうと予想して見ていました。そうなったらツマラナイ話になるから嫌だなぁと思っていたのですが、実際そのとおりでした。

そもそも、ご自身が置いた前提(男系で続いてきた)について、「ほぼ反論できない」と仰ってましたが、何言ってんだ?と言う感じです。迫力も説得力も感じません。ご本人も確信なく話していると思います。まあ、顔色から明らかでしたが。

施氏は、予想よりもさらに残念でした。どうせ勉強してないだろうし、酷いだろうと思っていたのですが、やはり酷かったです。おそらく、「・・・という説もある」という言い方で逃げるのだろうと思っていたら、実際そうでした。学者なら、より説得力のある説はどれかという点を詰めろよ!と怒鳴りたくなる感覚が湧きました。が、しかし、すぐに、どうせこんなもんだろうと小ばかにする感覚が勝り、間もなく白けた気持ちになり、無感動に聞いていました。

他方で、声を出して笑ってしまった所もいくつかありました。会場は全体を通してシリアスな雰囲気だったと思いますが、コメント欄には面白いものが多かったのです。私の中で一番は、「藤井・・・何を恐れている」というものです(素直に双系に転向したらそんな無理な立論しなくていいのにというニュアンス)。普段は自説を自信満々で語る藤井氏がオドオド気味だったのは、視聴者の多くが感じていたわけです。施氏は常にビクビクでしたが。

お二人とも有力国立大学の教授職に収まっており、ひもじい思いもなく、家賃の心配もいらず、従業員の給与の心配もなく、もはや日常生活では、不安感や切迫感に追いつめられない立場です。であれば、強者の立場を活かし、お金にならない公益的テーマでこそ死力を尽くすべきです(言論人やってるなら特に)。ところが、お二人からは、まったく緊張感を感じませんでした(同種コメントも多かったなぁ)。

緊張で言えば、小林先生がまったく納得されない顔(今にも怒鳴りつけてきそうな雰囲気の顔)をされっぱなしだったので、お二人は久しぶりに自分より格上の知識人と対峙し、その人物を納得させるどころか、欺瞞的と言われかねない言説を繰り返す状態がつづき、自らの不誠実さと相手の本気度の乖離にビクついていたという意味で、緊張されていたと思います。

私にはビクついているように見えましたが、「何ヘラヘラしてんだ!」的なコメントも、たくさんありました。ユーモアを装ったり、笑みを浮かべたり、ヘラヘラ笑っていたように見えるのは、緊張に耐えられないときに、つい出てしまうヘラヘラですね。特に施氏は酷かった。

西部氏がいなくなってから、もう詰められる上位の存在がいなくなって、緊張感のない日々を過ごしているのだろうと感じました。あれだけ小林先生が事前告知を含め、本気だと宣言しているのに、あれじゃあ、クライテリオンの読者も減るのでは(むしろ増える??)。

藤井氏は、本心ではご自身でも自覚されてると思いますが、あの立論が理想のはずがなく、説得力があるわけでもなく、ただ、男系派向けのロビイング資料としてひねり出した感が満載でした。クライテリオン等のニュアンスでは、万策つきた感がもっと濃いめだったと思うのですが、十番勝負ではやや後退したと感じました(まだ万策つきてない感が強くなった)。

藤井氏は私としては応援してきた知識人であり、著書もたくさん買って読んでいるので、十番勝負の立論は、法改正へ向けての芝居だと思うことにしときます(言論人ではなくロビイスト認定)。

また、藤井氏はコロナ禍の際も折衷的な政策を提案していました。半自粛を掲げて、マスクやワクチンにも相応の効果を認めて、「合理的」「段階的」な対応を提唱されていました。一般市民が同意できるようなバランスをとったつもり(?)なのでしょうが、有害の効果の方が大きいと思います。ただ、今回の立論(万策つきたら双系論)よりは、かなりましだとは思いますが。

まあ、調整型の立論をすることで、二分された議論を統合しようという志なのは分かりますが(世間が広いからねと小林先生がフォローされていました)。設計主義のことを左翼だと批判するのに、なぜ素朴な感情(マスク嫌とか、天皇のご意思とか)を出発点にせず、技巧的な立論になるのか、はなはだ疑問です

あのままでは、意見を統合すること(双系論を残しつつ多数派を与党内で形成すること)が目的だとしても、間違っている一方について、掉さす効果の方が大きくなると思います(男系原則論が強化されるだけなのでは)。別な話ですが、宮台氏のフリーハンドのために戦略的に中韓へ土下座しろ論に感じる違和感と似ています。ロビイングする学者は、国会議員向けの妥協策が自説になりがちなのでしょう。

藤井氏は、積極財政論では正しい主張をされていると思います。同論は、10年前は圧倒的な少数説だったにもかかわらず、妥協しないでゴリゴリと主張し続け、ついに与党内での一定勢力にまで成長しました。そうであれば、「万策つきたら双系論」なんて言わず、本来期待される立論である「今すぐ双系論」についても、妥協せずロビイングしたらいいじゃないか!と言いたくなるのですが、藤井氏ですら個人を貫けないのが政治なのでしょう。

藤井氏は、「本日の雑談」を熱心に読んでおり、西部邁と小林よりのりは藤井氏にとってスターだったと思いますが(私もそうでした)、その本の中で、西部氏は、「形式にこだわるのは保守じゃない。女性でも男性でもどっちでも良い。」、「女性の方が総合する力は優れている。むしろ女性の方がよいとすら言える。」的な発言をしていたと思います(他紙かも)。

西部氏が、保守思想の観点からはっきりと男女に拘るのはおかしいと説明してくれているのに、しかもそれを貪り読んでいたはずなのに、藤井氏の今回の立論はたいへん残念です。どうせ、存命中に、西部氏と皇統については深い議論はしていないでしょうし(これは虚無っていた西部氏も悪いと思いますが)。

西部氏は小林先生にフラれてから虚無の沼に深くはまっていき、知識人として寂しい晩年だったなぁと、雑誌などで見かけるたびに感じました(残念な晩年でしたが、私は今でも尊敬しています)。右翼だろうが、芸人だろうが、教授だろうが、結局、小林先生以外はだれも西部氏を満足させられなかった。小林先生と付き合っていたときのイキイキっぷりは、テレビで見ていた私が恥ずかしくなるくらい、本当に嬉しそうだったのが懐かしい。

しかし、まあ、(クライテリオンや、書籍や、動画で、)何十回も真正保守だと自称し、いろいろと定型の保守フレーズを駆使されているゲストのお二人は、先日、自分がステージ上で晒していたあの様(サマ)を、どう思っているのだろう。自称している保守思想が、まったく実践できておらず、恥ずかしくないのかよ!!??

施氏はともかく(無礼な言い方ですが)、藤井氏もあんな感じだったので、流石にがっかり。もはや、クライテリオンや保守業界(なんだそりゃ)は、最良の部分ですらこうなんだなぁと悲しい気持ちです。

とゆーか、西部邁が言ってたじゃねーかよ! (私が言うのも僭越ですが、)保守するための刷新が必要な時は、大胆な刷新をいとわないのが保守だと。長く続いてきたものには歴史の叡智があるとみて不都合がない限り変更は慎重に(=不都合があれば遠慮なく変更するの)が保守だと。

この保守フレーズ、「男系絶対」はもちろん「原則男系」にも、あてはまらねーじゃねーか。むしろ、双系へ刷新・変更することの方が、保守の態度として当てはまるだろうが! いちいち反論しないけど(画面の向こうだし出来ないけど)、まるで保守思想に当てはまってるみたいに説明するのやめてくれよ、がっかりするよ、嘘すぎて。何度も、何度も、何度も。自分とこの読者馬鹿にしてんのか?

(すみません、心の叫びが続きます)
あんた(藤井氏)を最初に知ったのは、表現者賞か何かを受賞したときで、15年以上前だったかなぁ。その時、工学系なのに文学系の文章だったから、西部邁の弟子には教養のある人がいるんだなぁと感心していた。あんたが書く文章はだいぶ読んだよ。クライテリオンも若手に切り替えたし、特集も面白いのあるから定期購読してるよ。あんたが大学生向けに書いた土木工学の教科書まで買って読んだよ(パラパラ読みだが)、財政論や大阪都構想への批判についは一般向け書籍はほとんど買って、めちゃめちゃ読んだよ。有料メールマガジンも購読してるよ(内容はライジングには遠く及ばないけど)。

施氏は、クライテリオン以外はあまり読んだことないけど(ごめんなさい)。

でも、結局、今回の十番勝負で、あらためて、お二人を見て、思想・議論することに最も真摯に取り組んでいるのは、小林よしのりだけだったということの再確認になってしまったよ(ガッカリ)。思考の柔軟性と個人の強さが要求されるテーマになればなるほど、小林先生以外に期待するのは無理なんだとなぁと(晩年の西部氏についてもそう感じたなぁ。でもゲストお二人はまだ若い!)。

視聴を開始して間もなく、小林先生がどう語るかが私の一番の楽しみになった(皆そうだったのでは)。小林先生がずっと黙っていて(でも顔で語ってた)、本当はボコボコに論破できるのにせずに、一区切りつくまでずっとゲストに話を続けさせているのをみて、つくづく「本気だなぁ」と感じた。お二人さんよ!真剣に話してる人には、真剣に応じろよ!(コメントでもあったなぁ)。

江戸時代だったらお二人は後から切られていたなぁ。小林先生は、切り口やエピソードをいくつも準備して、あの席のために相当な労力を割いてきていたことが明らかだったのに。まともに応じない二人に、腹が立った(コメントでも多くの人が腹を立ててたけど、これが救いか)。

感心したこともあって、それはコメントで「罵詈雑言」をいう人が、ほとんどいなかったことかなぁ。辛辣だが的を射たコメントが多かった気がします。もし、お二人が見たら、立つ瀬がないと思います。でも、相対化して、こんな意見もあるよね、批判は結構なことだ、的に受け流して、向き合わないだろうけど。まあ、「頭が良い人」は、いくらでも自分をごまかして、逃げられるからねぇ。

小林先生は、直接反論したら相手(藤井氏・施氏)が窮するようなことを、正面を向いたまま、より一般化して、視聴者に対する啓蒙の形で語ってくれた。胸を打たれた。本当は怒鳴りつけたっても良かったろうに。抑制して、徹底して理屈で説明してた。やっぱりすげーなと思った。あんなに本気で語ってもらえるチャンスは、生涯そうそうないと思う。

藤井氏や施氏は、「主権者は誰か」について、小林先生が言われたことが分かったのだろうか?? どうせ頭ではわかっているんだな、いちおう秀才だからなぁ。でも、もし本当に分かってしまったら、尊皇派のはずの自分の言動が極めて不敬になっており、皇統断絶を促進していることに向き合わざるを得ず、いてもたってもいられなくなって、自刃してしまうほど恥じると思うが。絶対に、向き合わないだろう。自分たちが、天皇の希望を無視して、国会議員や男系派の希望・面子を極力尊重した活動をしているのだから。真正の極左だろ!

同じく、「やっていただいている」も全く分かっていないだろう。私だって、すぐには分からなかった。天皇論から新天皇論までずっと読み進め、そのほかの書籍や映像も見て、さらに周りの人と何度も話すうちに、やっと当然に思えるようになったに過ぎない。でも、少なくとも、「保守思想的に男系で続くのが良いこと」的な言説は撤回しろよ、間違ってるだろ、理屈ですでに!

西部氏も泣いてるよ。どうして二人は、そこまで師匠を裏切れるのか? 保守思想の橋頭保を自認している雑誌の中心人物らが、ほんとうにあの映像(十番勝負)の通りの主張や思想態度なの? 卒倒しそうだよ。中島岳志とかなんかより、ずっと西部邁の保守思想を深く承継した雰囲気があったはずなのに。

天皇論になると、メッキがはがれるなぁ。天皇論は本当に難しい。と藤井氏も自ら語っていたし、経済は語りやすいと言って対比までしていたし、自己相対化を済ませているぞアピールは十分伝わってきて、頭が良いのは分かるのだが、そんなに頭が良いのだったら、あるべき価値の順列を妥協せずに示してくれよ(価値相対主義は西部師匠もめちゃくちゃ嫌っていただろうに)。本当に言論人として一番正しいと思う意見がそれなのか??

退職まで安泰(退職金・年金も十分)なお二人が、なんで真実や理想に拘らないんだよ!安全なんだからむちゃくちゃ拘れよ!「こういう説もある」とか、「こういう可能性がある」とか、聞き飽きたよ。一番大事だと思う、一番説得力があると思う論を示して、本気で闘ってみせろよ。怖いんだろーが。自分でもわかってんだろ。周囲から浮いてしまうことの方が、言論で間違うことより怖いんだろ!

クライテリオン、執筆陣あんなに若いのに(私と同年代)、もう頭が固くなってるのかなぁ。私みたいな(60代までの)西部氏の読者でも、雑誌「発言者」がつぶれるって小林先生がSAPIOの欄外に書いた時、当時は全然お金なかったから付き合ってた彼女にお金を借りてバックナンバーを無理に全巻買って(色々問題)、でもやっぱり「魔弾」しか面白いのなくて、タンスの中に積ん読くになって、時が流れて、去年からクライテリオンも応援しようと定期購読を始めて、でもやっぱり伊藤貫くらいしか読むのなくって、そんで自分に国際政治と国際法の知識がなさ過ぎてイラついて、仕方なく篠田英朗の本を読み始めて、、、それでもまだやっぱり、色々よく分かんないけど、クライテリオンには期待してるんだよ、読者を裏切んなよ!

そんで、最近の藤井氏の語り口がロシア悪と言い切らないのは、伊藤貫(ミアシャイマーやキッシンジャーの紹介)の影響かなと思いつつ、まだまだウクライナ戦争を理解しきれていないので、私は、もっと知りたいです、考えたいです。クライテリオンは、そのうち特集を組んでくれるでしょう、たぶん。で、そのうち伊藤貫に座談会で語ってもらうのかなぁ。それならきっと、クライテリオン(藤井氏ら)は、アメリカがロシアを追い込んだ論がメインになるんだろうなぁ。

ウクライナについては、私も、もちろん整理がついていないので、小林先生の著作を中心に、先生の考えについていけるようにしたい。クライテリオンもまだ見捨てないで購読してやろうっと。自国のナショナリズムから敷衍するのか、国際関係論(6つのパラダイム・伊藤貫)的な捉え方で十分なのか、国際法や国際経済の観点から考えるとどうなるのか、どのくらいの時間の幅で考える必要があるのか、日本人はどうしたらいいのか、日本はどうなっちゃうのか。考える足掛かりはナショナリズムなんだろうけど、どこにつなげればよいか、いろいろ分からない。とにかく、小林先生のウクライナ戦争論が楽しみだぜ~。

結論、小林先生と互角に話せる知識人は絶滅した可能性が高い。

以上、全くまとまらないですが、十番勝負を視聴したときの私の感想です。

 

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