私は僭越ながら、以前から「皇嗣」秋篠宮殿下が
即位を辞退されるお気持ちだろう、との推測の述べて来た
(たとえばプレジデントオンライン「高森明勅の“皇室ウォッチ”」
4月29日公開記事など)。
https://president.jp/articles/-/56836先頃、刊行された江森敬治氏『秋篠宮』も、
私の推測を補強するものだった
(同「高森明勅の“皇室ウォッチ”」5月23日公開記事を参照)。
https://president.jp/articles/-/57753ところが、“即位辞退”ということが果たして制度上、可能かどうか、
疑問に思っている人がいるようだ。
そうした疑問を持ってもおかしくない。
皇室典範に“即位辞退”の明文規定は無いからだ。しかし、実際は可能と考えられる。
それは、皇室典範第3条に以下のような規定があるからだ。「皇嗣に、精神若しくは身体の不治の重患があり、
又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により、
前条に定める順序に従つて、皇位継承の順序を変えることができる」つまり、「精神若しくは身体に不治の重患」が“無い”場合でも、
「重大な事故」を理由として「皇室会議の議により」皇位継承の
順序を変更することが可能となっている。問題は「重大な事故」の中身だ。
これについて、元最高裁の判事だった園部逸夫氏が
以下のような指摘をされている(『皇室法概論』57ページ)。「例えば仮に皇嗣が皇位継承を拒否するという
意思表示を公の場で行った場合が『重大な事故』に当たると
解することが可能であれば、皇嗣は自らの意思により皇位を
継承しないという選択を行うことが可能になると
解されることになる」法律家らしい慎重な言い回しながら、
趣旨は明確で、説得力のある解釈だろう。その場合、今の皇室典範の規定のままなら、
「前条に定める順序に従つて」なので(第2条第1項第6号の規定により)
秋篠宮家のご長男、悠仁親王殿下が直ちに即位されることになる。もしそのような形になれば、天皇のお子様でない方
(秋篠宮殿下が即位されなければ悠仁殿下は天皇のお孫様〔皇孫〕
という位置付け)が珍しく即位されるという、
江戸時代の光格天皇(第119代)以来の“異例”となる。しかも、今上陛下には敬宮(としのみや、愛子内親王)殿下
というお健やかでご聡明というレベルを更に越えておられる、
光輝くようなお子様(皇子)がおられるにも拘らず。
果たして…。【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/
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