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高森明勅
2022.5.20 09:00政治

政界の暴れん坊だった亀井静香氏の「政治家」観察レポート③

更に引き続き亀井静香氏『永田町動物園』から。

「総裁選の議員集会を、俺は会場の一番後ろの
壁にもたれかかって見ていた。
橋龍(橋本龍太郎)の周りにはポスト欲しさに
ヨイショ、ヨイショの議員たちが群がっていた。
でもあいつは、その群れをかき分けて俺のところに来て、握手をした。
そして、ウインクして去っていった。

俺のおかげで、小渕(恵三)を差し置いて
総裁選に出られたとわかっていたのだ。
…橋本内閣が誕生し、俺も組織広報本部長という新設された四役に就いた。
ともにお国のために頑張ろうと意気込んだのだが、現実は違った。
あいつは総理になった途端に変わってしまったのだ。
大蔵省の虜になり、緊縮財政を主導し、政策的に縮小路線に舵を切る。
官僚にのせられ、消費税を3%から5%に引き上げてしまった。
公共事業もなんでも切ってしまえと、無茶なことをやりだした」

「(塚原)俊平が第1次橋本内閣で通産大臣だった頃を思い出す。
朝、少しだけ大臣室に顔を出して仕事をするのだが、
昼になると事務所に戻り、昼飯をたべながら俺たちと
麻雀を始める。
国会開会中だって関係ない。
秘書官や役人が決裁を取るため、文書を持参してくるのだが、
俊平は麻雀に集中しているから、あまり中身を見ないまま決裁していた」

「荒井(広幸)は、郵政民営化阻止のため、翌年の参院選に
比例全国区で出馬することになった。
…(出陣式に)集まった聴衆は10人にも満たない。
衆院選に再挑戦しなかったことに、支持者が猛反発したようだ。
荒井には全国団体の後ろ楯もない。
裸一貫で出た荒井を、絶対に落としてはならないと思った俺は、
自分の選挙でもしたことがない行動に出た。土下座だ。
『こんな良い男はいません。このまま終わらせてはもったいない。
どうか彼を全国区に出させてあげてください』
事前の打ち合わせなど、一切していない。
荒井は、俺が土下座をしている傍らで、必死に涙をこらえていた」

(続く)

追記

今月のプレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」は
少し前倒しして23日月曜日、午後1時に公開予定。
江森敬治氏『秋篠宮』を取り上げた。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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