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笹幸恵
2022.1.23 12:52皇統問題

「産経抄」は、皇室について無知であることがはっきりわかった。

昨日(1/22)の産経抄、皇位継承問題に関する
トンチンカンぶりが凄まじい。

産経抄1/22
https://www.sankei.com/article/20220122-A3XF42SVRVIXTPBLDMZEX3TUXI/

有識者会議が出した報告書の
「男系男子を養子縁組で皇族する」案について、
立民の馬淵議員が「門地による差別」に当たる
と指摘しているのだが、
これについて「まぜ返しではないか」と批判している。

何がどう「まぜ返し」なのかと続きを読むと、、、

①「門地による差別」とは、憲法14条(法の下の平等)だが、
皇室は2条で規定されており、14条の例外。

②皇族にはさまざまな制約がある(具体例付き)。

③14条を一律に厳格適用するならば、
現行憲法そのものが憲法違反ではないか。

これ、話が途中ですり替わっているのがわかるだろうか。

①の見解は合っている。
皇位の世襲継承は2条で定められているため、
法の下の平等を謳った14条とは別枠だ。

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、
人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、
政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
② 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
③(省略)

馬淵氏は、14条に当てはまるはずの「国民」が、
その家柄(門地)を理由に皇室に入るか否かが
検討される(あるいは検討されない)、
そのこと自体が「門地による差別」ではないかと
言っている。
至極真っ当な指摘である。
にもかかわらず、産経抄は、
日本国民が憲法で保障されているさまざまな権利が、
皇族の方々にはないことを縷々述べた上で、
これが14条に違反、ひいては憲法違反ではないかと
言っているのである。
要するに、国民の話をしているのに、
皇族の話にすりかえているのだ。

わざとやっているのか、単なる無知か。

おそらく後者だ。
コラムでは、次のように記されている。

むしろ皇族は、日本国民であるにもかかわらず
さまざまな制約を受けている。

もうこの一文だけで、皇室を全く知らないことを露呈させている。
知ったかぶりで書くな。
付け焼刃で書くな。
その浅薄さが皇位継承問題を混乱させ、先送りさせているのだ。

そして、まともな日本語能力を養え。
言っておくけど、自分が出した結論③は、
すでに冒頭の①で答えが出ている。
まぜっ返しているのは産経抄だ。
気は確かか。


笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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