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高森明勅
2021.11.10 10:00皇統問題

皇室が“人権ゼロ”の「飛び地」でないことを示す皇室典範の規定

天皇・皇室を巡る制度を“人権ゼロ”の身分制の「飛び地」とする
憲法学上の有力な学説がある(長谷部恭男氏など)。
しかし、皇室典範には次のような条文がある(第11条第1項)。

「年齢15年以上の内親王、王及び女王は、
その意思に基き、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる」

これは、皇室会議の同意を条件としながらも、
15歳以上の内親王など皇族男女に、“自由意思”による
皇籍離脱を認める規定だ。

皇室会議も、内親王方が自ら皇籍離脱の意思を明確にされた場合、
よほどの事情でも無い限り、敢えてそれを否定する
議決を行うことは、現実的には困難だろう。

皇族に対して、その身分からの離脱という
極めて重大な選択への自由意思を認めている事実は、
天皇・皇室を巡る制度が決して人権ゼロの「飛び地」
ではないことを示している。

この規定において「親王」が除外されているのは、
憲法が定める「世襲」制を不安定にしない為で、
差し当たり「(天皇・皇室を巡る制度の)趣旨目的との関係で
必要最小限の制約」(園部逸夫氏)と見なすべきだろう
(但し同条第2項の運用次第では、皇太子などを除く
親王の皇籍離脱もあり得る)。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/blog

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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