秋篠宮家のご長女、眞子内親王殿下が、既にご婚約が内定している
小室圭氏と結婚される見通しとの報道が、複数のメディアによって
なされている。
まだ、関係者からの情報というレベルにとどまっているようだ。
しかし、もし報道の通りなら、一般の結納に当たる「納釆の儀」だけでなく、
天皇・皇后両陛下にお別れのご挨拶を申し上げ、
両陛下から祝福を受けられる「朝見の儀」も行われないことになる。
秋篠宮家だけにとどまらず、天皇陛下も巻き込んだ事態になる。《最も心配していた展開》
これは、昨年の秋篠宮殿下のお誕生日に際しての
記者会見でのご発言を拝して、私が最も心配していた展開だ。「結婚は認めるということです」
「あくまでも私の主観になりますけれども、感じとしては
決して多くの人が納得し喜んでくれている状況ではない
というふうに思っています」「私は、特に結婚と婚約は違いますから、結婚については本当にしっかりした
確固たる意志があれば、それを尊重するべきだと私は思います。
これはやはり両性の合意のみに基づくということがある以上、
そうでないというふうには私はやはりできないです」「結婚と婚約は違います」というのは、少し分かりづらい表現かも知れない。
「両性の合意のみに基づく」結婚そのものは、
最終的に当事者の意志に委ねるしかない一方、正式な「婚約」に伴う
納釆の儀など一連の儀式(宮中三殿に謁するの儀・朝見の儀は除く)は、
秋篠宮家のご当主たる秋篠宮殿下ご本人のお考えによるので、
それらは出来ない可能性がある、という趣旨のご発言だった。秋篠宮殿下なりの筋の通され方とはいえ、もしそれが行われなければ、重大な異例だ。
秋篠宮家が納釆の儀を行わなければ、天皇陛下にお会いする朝見の儀も行えない。
天皇陛下から正式な祝福を戴けないまま、ご結婚によって
皇室を離れられるというのは、畏れ多いが、事実上、
皇室自体から“勘当”を受けるに近い、と言えるのではあるまいか。《ご多幸を祈り上げる》
眞子殿下のご結婚を巡るこれまでの経緯は、まことに残念と申し上げる他ない。
しかし、今回の報道が正しければ、あらゆる困難を乗り越えられるご覚悟で、
ご結婚に踏み切られるらしい。
眞子殿下は遂にご自身の純愛を貫かれるのだろう。
そのことについては、かねて殿下の国民へのひたむきな
ご献身に敬意と感謝の念を抱く1人として、率直にお祝い申し上げたい。
又、ご結婚後のお幸せな暮らしを心から祈り上げる。《一時金の辞退はあり得ない》
なお、皇籍離脱に伴う「一時金」について
“辞退”されるお考えとの報道もある。
この点については、ご自身のお気持ちはともかく、
制度上、到底、認められないだろう。
と言うのは、一時金が「皇族であつた者としての品位保持の資に充(あ)てるために」
(皇室経済法第6条第1項)支出される、つまり、(ご本人の為ではなく!)
皇室の“尊厳”を守ることが目的である以上、
当事者の意思によって左右されるべきではないからだ。この点については、皇室典範第11条第2項の規定によって
皇籍を離脱された方についても、支出の対象となっている事実が参考になる
(皇室経済法第6条第7項第1号)。
皇室典範同項には以下のような規定がある。「親王(皇太子及び皇太孫を除く。)、内親王、王及び女王は、
前項の場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、
皇室会議の議により、皇族の身分を離れる」「前項(第1項)」には、15歳以上の内親王・王・女王が
「その意思」によって、皇室会議の同意を前提に、皇籍離脱が
可能であることを規定している。
と言うことは、第2項は、畏れ多いが、当事者に「その意思」がない場合でも、
皇室会議の議決によって、特定の皇族を皇籍から
離脱させることが可能な制度になっているのだ。その場合、「やむを得ない特別の事由」とは何か。
皇室典範を制定する際に、法制局(内閣法制局の前身)が用意した
「皇室典範案に関する想定問答」には、次のように説明している。「懲戒に値する行為があつた場合その他皇族として
その地位を保持することを不適当とする事情をいふ。
皇族数を調整する必要を生じた場合亦(また)これに当るであらう」つまり、一時金は「懲戒に値する行為その他皇族として
その地位を保持することを不適当とする事情」によって、
皇籍を離れられる方についてさえも、支払われる制度になっている。
その目的が、ご本人への援助でなく、皇室の尊厳保持だからに他ならない。
ましてや今回の場合は勿論、そのようなケースではない。
いずれにせよ、ご本人の意思によって、一時金の支出を
辞退できるという扱いは、その支出の本来の目的にそぐわないし、
又、今後の為にもそのような前例を残してはならない。《一時金を巡る法的欠陥》
なお一時金の金額は、皇室経済法第6条第7項第1号の規定などに基づいて、
皇室経済会議で決められる。
だが、同号に潜む問題点については、ほとんど気付かれていないようだ。当該規定では、一時金は「年額の十倍に相当する額」を
“超えない”金額となっている。
しかし、この条文は第13回国会で昭和27年2月(!)に追加されたまま、
ずっと放置されている。この間、日本人の平均寿命は、どんどん延びている。
具体的には、昭和25年~27年が男性59.57歳、女性が62.97歳だったのに対し、
令和2年では男性81.64歳、女性87.74歳となっている。
男女共にそれぞれ20歳以上も延びている。
ご結婚の年齢が多少、高くなったとしても、
寿命の延び方にはとても及ばない。それが何を意味するかは明らかだろう。
事実上、一時金は大幅に切り下げられているのだ。
これまで、同経済法の改正が必要なことに気付いた国会議員は、
誰もいなかったのだろうか。【高森明勅公式サイト】
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