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徒然草気まま読み#146
「頂点を極めず」
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今回扱うのは、第八十三段。
前半を紹介すると…
竹林院入道左大臣殿、太政大臣にあがり給はむに、何の滯りかおはせむなれども、「珍しげなし。一の上(かみ)にてやみなむ。」とて、出家し給ひにけり。洞院左大臣殿、この事を甘心し給ひて、相國(しゃうごく)の望みおはせざりけり。
律令国家においては、太政大臣が
臣下としての最高位であった。
西園寺公衡は、恵まれた境遇にあり
太政大臣の地位に就くことは
ほぼ確実であったにもかかわらず、
左大臣でやめておこうと、自ら出家してしまった。
しかも、そのことに共感した藤原實泰も、
望みのあった太政大臣の位を目指さなかった。
あえて頂点を目指さないという価値観に
兼好も共感し、これを紹介しているわけだが、
そこにある美学とは一体何だろう?